【卵の鮮度】黄身を見るだけで分かる新鮮卵の見分け方|5つの簡単チェック法

卵の鮮度を黄身で見分ける方法を知ることは、料理の質を高める重要なスキルです。

新鮮な卵ほど黄身が盛り上がって丸みがあり、色が濃く、膜が丈夫という特徴があります。

時間の経過とともに黄身は平たくなり、膜も弱くなっていきます。

卵の鮮度判断は黄身の観察だけでなく、水に入れて浮き沈みを確認する方法も効果的です。

新鮮な卵は水に沈み、古くなるほど浮きます。

これは卵内部の気室が時間とともに大きくなるためで、科学的な根拠に基づいた判断方法です。

この記事でわかること:

目次

卵の鮮度を黄身で見分ける基本知識

卵の鮮度は私たちが日常的に使う食材の中でも特に重要です。

鮮度の良し悪しが料理の出来栄えを大きく左右するからです。

卵の鮮度を見分けるには、殻の状態や賞味期限を確認する方法もありますが、最も確実なのは黄身の状態を確認することです。

黄身には鮮度によって明確な変化が現れるため、見ただけで簡単に判断できます。

新鮮な卵と古い卵の黄身の違い

新鮮な卵と古い卵では黄身の状態に明確な違いが表れます。

新鮮な卵の黄身は盛り上がって丸みがあり、色は濃い黄色または橙色をしています。

膜も強いため、割った後もしっかりと形を保ち、卵白と明確に分離しています。

一方、古くなった卵の黄身は平べったくなり、容易に広がってしまいます。

色も薄く、膜が弱いため少し触れただけで破れやすい特徴があります。

また、新鮮な卵は黄身と卵白がぴったりと密着していますが、古い卵は黄身と卵白の境界がはっきりしなくなります。

黄身の状態を見るだけで、卵がどれくらい新鮮かを判断できるので、特に生食や半熟料理に使う際には必ずチェックしておきたいポイントです。

黄身の状態が変化する科学的理由

卵の黄身が時間の経過とともに変化するのには、はっきりとした科学的理由があります。

卵の殻は一見すると堅固に見えますが、実際には約7,000〜17,000個の微細な気孔(穴)が存在します。

これらの穴を通して、時間の経過とともに水分と二酸化炭素が外に逃げ、代わりに外部から酸素や微生物が入り込みます。

この水分の蒸発により、卵の内部構造に変化が生じます。

新鮮な卵は水分含有量が多いため、黄身は卵白の中でしっかりとした張りを持っています。

しかし時間が経つにつれ、水分が減少することで黄身を支える力が弱まり、平らになっていくのです。

また、時間の経過とともに卵のpH値も変化します。

新鮮な卵のpH値は約7.6ですが、二酸化炭素が逃げることで徐々に上昇し、古くなると9.2程度まで上がります。

このpH値の変化も黄身の膜に影響を与え、徐々に弱くなっていく原因となるわけです。

日本農林規格における卵の鮮度基準

日本農林規格(JAS規格)では卵の品質評価において鮮度を重要な基準としており、具体的な数値や状態によって等級が定められています。

この規格では「AA」「A」「B」の3つの格付けが設定されており、主に卵の内部品質によって判断されます。

鮮度の最も高い「AA」クラスの卵は、割ったときに黄身が高く盛り上がり、卵白の濃厚部分(濃厚卵白)が多く、形が崩れにくいという特徴があります。

具体的には、ハウユニット(HU)という卵の内部品質を表す値が72以上のものがこれに該当します。

JAS規格では、この他にも卵の殻の状態や気室の大きさ、卵の重量なども評価基準に含まれています。

一般的に市販されている卵は「A」クラス以上のものが多いですが、産みたての新鮮な卵は「AA」クラスの基準を満たしていることがほとんどです。

この規格は消費者が品質の高い卵を選ぶための指標となるだけでなく、生産者や流通業者にとっても品質管理の基準として重要な役割を果たしているのです。

卵の適切な保存期間と鮮度の関係

卵の鮮度は保存期間と保存方法に大きく影響されます。

一般的に、冷蔵保存した場合の卵の賞味期限は購入日から約2〜3週間と言われていますが、実際には保存環境によって大きく変わります。

卵は時間の経過とともに徐々に品質が低下していきます。

産みたて直後が最も鮮度が高く、その後1日ごとに約1.5〜2ハウユニット(HU)ずつ品質が低下していくとされています。

室温(25℃前後)で保存すると、わずか1日で4〜6HU低下するのに対し、冷蔵保存(4℃前後)では1日あたりの低下が1HU程度に抑えられます。

卵を購入したら、すぐに冷蔵庫で保存することが望ましいです。

特に夏場は室温での保存期間が短くなるため注意が必要です。

また、卵は多孔質の殻を通して臭いを吸収しやすいため、強い臭いのする食品から離して保存しましょう。

冷蔵庫では、温度が一定に保たれる中段や下段の棚に卵を置くのが理想的です。

ドア部分は開閉のたびに温度変化があるため避けたほうが良いでしょう。

また、尖った方を下にして保存すると、黄身が中央に位置しやすくなり、鮮度を長く保つことができます。

黄身を見るだけでわかる鮮度チェック法

卵の鮮度を判断する最も簡単な方法は、黄身の状態を確認することです。

黄身には卵の鮮度を示す多くのサインが現れるため、割ってみるだけで新鮮さがわかります。

新鮮な卵ほど黄身が盛り上がって丸く、色が濃く、膜が丈夫という特徴があります。

これから黄身に注目した鮮度の見分け方を詳しくご紹介します。

黄身の盛り上がり具合でわかる鮮度

黄身の盛り上がり具合は、卵の鮮度を判断する最も分かりやすい指標です。

新鮮な卵の黄身は、はっきりとした丸みを持ち、高く盛り上がっています。

これは卵白のタンパク質が密度高く黄身を支えているためです。

産みたての新鮮卵では、黄身が約1cm以上盛り上がり、きれいな半球形になります。

時間が経つにつれて、卵の内部で水分の移動が起こり、黄身を支える力が弱まります。

1週間経過した卵の黄身の高さは約0.7cm程度になり、2週間以上経過すると0.5cm以下になってかなり平べったくなります。

黄身の形状を確認する方法としては、平らなお皿に卵を割り入れるのが効果的です。

お皿の上で黄身がどれだけ高く盛り上がっているかを確認しましょう。

黄身が高く盛り上がっていて崩れにくければ、その卵は非常に新鮮だと判断できます。

また、黄身の位置も鮮度を示します。

新鮮な卵では黄身が中央にしっかりと位置していますが、古くなるにつれて黄身が中央から外れやすくなります。

これは卵白の粘度が低下し、黄身を固定する力が弱まるためです。

黄身の色の濃さと鮮度の関係

黄身の色は卵の鮮度を示す重要な要素の一つです。

一般的に、新鮮な卵の黄身は濃い黄色または橙色をしており、鮮やかさがあります。

時間が経つにつれて色は徐々に薄くなり、古い卵では淡い黄色になります。

ニワトリの餌によって黄身の色は影響を受けますが、同じ条件で飼育された鶏の卵を比較すると、新鮮なものほど色が鮮やかです。

これは卵内の水分量と関係しており、新鮮な卵ではカロテノイド色素が凝縮されているからです。

日本の一般的な卵の黄身の色は、日本農林規格(JAS)の卵用カラーファンで測定すると、新鮮なものは8~10程度の濃さがあります。

時間の経過とともに6~7程度まで薄くなることが多いです。

市販されている卵の種類によっても黄身の色は異なります。

赤玉卵は白玉卵よりも黄身の色が濃い傾向があり、特殊な飼料で育てられた「コクの卵」「こだわり卵」などは、黄身の色が橙色に近いものもあります。

しかし注意が必要なのは、同じ産地・同じ種類の卵でなければ、色の濃さだけで鮮度を比較することはできないという点です。

あくまで同条件の卵を比べる際の参考指標として考えましょう。

黄身の膜の強度からわかること

黄身を包む卵黄膜の強度は、卵の鮮度を判断する上で非常に重要な要素です。

新鮮な卵ほど、黄身を包む膜が強く弾力性があります。

この膜が丈夫であれば、黄身の形状を保ち、簡単には破れません。

卵の鮮度テストとして、黄身の膜の強さを確かめる方法があります。

新鮮な卵を割ったら、指先やスプーンで黄身に軽く触れてみましょう。

新鮮な卵の黄身は膜が強いため、軽く押しても形を保ち、すぐには破れません。

一方、古い卵の黄身は膜が弱くなっているため、少し触れただけですぐに破れてしまいます。

卵の保存日数と黄身の膜の強度の関係を示すデータによると、産みたての卵では黄身膜が破れるまでに約120gの圧力に耐えられますが、1週間経過すると約80g、2週間経過すると約50g程度まで耐久力が低下します。

料理別に見ると、目玉焼きやポーチドエッグなど、黄身を崩さずに調理したい場合は、黄身膜の強い新鮮な卵が最適です。

逆に、スクランブルエッグやオムレツのように黄身と白身を混ぜる料理では、少し日数が経った卵でも問題なく使えます。

黄身膜の強度は、卵の保存方法にも影響されます。

適切な温度(10℃前後)で保存された卵は、室温で保存された卵よりも黄身膜の強度が長く保たれます。

家庭では冷蔵庫の卵専用スペースで保存するのが理想的です。

黄身と卵白の密着度を確認する方法

黄身と卵白がどれだけ密着しているかは、卵の鮮度を判断する重要な指標です。

新鮮な卵は黄身と卵白が強く密着しており、黄身の周りをしっかりと濃厚卵白が取り囲んでいます。

時間が経つにつれて、この密着度が弱まっていきます。

新鮮な卵を割ると、黄身の周りに盛り上がった濃厚な卵白(濃厚卵白)が観察できます。

この濃厚卵白は、黄身をしっかりと支える役割を果たしています。

卵の鮮度が落ちるにつれて、濃厚卵白の量が減少し、水様性の薄い卵白(水様卵白)の割合が増加します。

黄身と卵白の密着度を確認するための簡単な方法は、平らな皿に卵を割り入れて観察することです。

新鮮な卵では、黄身が卵白にしっかりと囲まれ、動かしても黄身があまり動きません。

一方、古い卵では黄身と卵白の境界があいまいになり、黄身が自由に動きやすくなります。

具体的な数値でいうと、産みたての卵では濃厚卵白が全卵白の約80%を占めますが、1週間経過すると約60%、2週間以上経過すると40%以下になることもあります。

卵白の状態は料理の仕上がりにも大きく影響します。

メレンゲなど泡立てが必要な料理では、濃厚卵白の多い新鮮な卵が安定した泡立ちを実現します。

一方で、少し時間の経った卵は卵白が薄くなっているため、茶碗蒸しなどの滑らかさを求める料理に適しています。

また、生食用の卵(賞味期限内で新鮮なもの)では、黄身と卵白の密着度が特に重要です。

卵かけごはんなど生で食べる場合は、黄身と卵白がしっかりと密着した新鮮な卵を選びましょう。

これにより最高の食感と風味を楽しむことができます。

水を使った簡単鮮度チェック方法

卵の鮮度を調べる方法として、水を使ったテストは家庭で手軽にできる便利な方法です。

このテストは科学的な根拠に基づいており、卵の内部変化を外から確認できる優れた方法といえるでしょう。

水を使った鮮度チェックは、割らずに卵の状態を判断できるため、食材を無駄にせず経済的です。

水に沈むか浮くかで判断する方法

卵を水に入れたときの浮き沈みで鮮度を判断できます。

新鮮な卵は水の中できれいに沈み、古くなるほど水面に浮き上がる傾向があります。

これは卵の内部に空気室があり、時間の経過とともにその空気室が大きくなるためです。

一般的な目安として、水の底に横たわる卵は採卵後1週間以内の非常に新鮮な状態、容器の底に立つように沈む卵は1〜2週間程度、水面近くまで浮き上がる卵は3週間前後、完全に浮く卵は古くなっている可能性が高いとされています。

水中での卵の挙動は以下のようにまとめられます:

この方法は特別な道具が不要で、一目で鮮度の目安がわかるのが大きな魅力ですね。

正しい水中テストのやり方

水中テストを正確に行うためには、いくつかのポイントがあります。

まず、使用する容器は深さが10cm以上あるガラスや透明なプラスチック容器が最適です。

卵が自由に動ける十分な水量を確保しましょう。

水温は10〜15℃の冷水が理想的で、水道水をそのまま使うとよいでしょう。

塩分や添加物が入った水は浮力に影響するため、純粋な水道水を使用することが重要です。

正しい水中テストの手順は以下の通りです:

テスト後の卵は冷蔵庫に戻す前に、必ず清潔なペーパータオルなどで水気をしっかり拭き取りましょう。

濡れたまま保存すると、殻の微細な穴から水が入り込み、細菌が繁殖するリスクが高まります。

このテストは卵を使用する直前に行うのが最も効果的です。

水中テストの科学的根拠

水中テストが鮮度判定に有効な理由は、卵の内部構造の変化にあります。

新鮮な卵は殻の内側に気室(エアセル)が小さく形成されていますが、時間の経過とともに卵殻の微細な穴から空気が入り込み、水分が蒸発することでこの気室が徐々に大きくなります。

実際のデータでは、採卵直後の気室の高さは平均2mm程度ですが、1週間経過すると約4mm、2週間で約6mm、3週間以上で8mm以上に達することが確認されています。

気室が大きくなると卵全体の密度が下がるため、水中での浮力が増して水面に近づくという物理現象が起こります。

新鮮な卵の比重は約1.08〜1.10で水より重いですが、古くなると1.00前後まで下がり水とほぼ同じになるため浮くようになります。

これは日本農林規格(JAS規格)でも卵の格付けに「気室の高さ」が重要な基準として採用されている点からも、科学的に信頼できる判断基準といえます。

家庭ですぐできる実践ポイント

水中テストを家庭で効果的に活用するために、いくつかの実践ポイントがあります。

まず、卵を購入した際にはパッケージに日付を記入しておくと便利です。

賞味期限と実際の鮮度を照らし合わせることで、自分の目で鮮度判断する力が養われます。

また、一度に複数の卵をテストする場合は、一つずつ行い、結果に応じて使用順序を決めると効率的です。

特に生食用には完全に沈む卵を選びましょう。

家庭での水中テスト活用法:

さらに、テスト結果を料理に活かす工夫も大切です。

完全に沈む新鮮な卵は生食や半熟調理に、やや浮く卵はしっかり加熱する料理に回すなど、鮮度に応じた使い分けを心がけましょう。

水中テストは簡単かつ効果的な方法なので、料理前のちょっとした習慣にするといいですよ。

鮮度に応じた卵の使い分けが、毎日の食事の質を確実に向上させてくれます。

卵を割らずにできる鮮度の見分け方

卵は割らなくても、いくつかの方法で鮮度を確認できます。

外見や手に取ったときの感触から判断できるので、調理前に簡単にチェックできるのが魅力です。

新鮮な卵を見分けるスキルを身につければ、料理の質も自然と向上します。

卵を揺らして音で判断する方法

卵を軽く揺らすと、中の状態から鮮度を判断できます。

新鮮な卵は内部の卵白と黄身がしっかり密着しているため、揺らしてもほとんど音がしません。

手のひらに乗せて優しく揺すってみましょう。

新鮮な卵と古い卵では、次のような違いがあります:

この方法は特に道具が必要なく、スーパーでの購入時でも実践できる便利な方法です。

ただし、揺らし過ぎると卵の黄身膜が破れることがあるので、優しく行うのがポイントですね。

光に透かして確認する方法

光に卵を透かして見る「検卵」という方法も効果的です。

暗い部屋で懐中電灯や小さなライトを用意し、卵に光を当てて内部を観察します。

最近では専用の検卵器も市販されていますが、スマートフォンのライト機能でも代用できます。

透かして見たときの特徴と鮮度の関係は次のとおりです:

この方法は鮮度だけでなく、卵の内部に血斑や異物がないかも確認できるので、生食する場合には特に有効です。

光に透かすと卵の殻を通して内部がほんのり見えるため、黄身の位置や空気室の大きさが一目でわかります。

殻の状態からわかる鮮度の目安

卵の殻の外観からも鮮度を推測できます。

新鮮な卵は独特の特徴を持っています。

卵の殻の状態と鮮度の関係性を理解しておくと、購入時の参考になるでしょう。

特に注目したいのは卵の先端にある「気室」の部分です。

卵を購入してすぐの新鮮な段階では、この気室は非常に小さいのですが、時間の経過とともに大きくなっていきます。

卵を光に透かして見たとき、先端の空気室が小さければ新鮮な証拠といえます。

また、鮮度の良い卵は殻に微細な気孔があり、ここから水分や二酸化炭素が徐々に抜けていきます。

この気孔が詰まっていない新鮮な卵は、殻に自然なザラザラ感があるものです。

購入日からの経過日数と保存状態

卵の購入日からの経過日数と保存方法も鮮度を左右する重要な要素です。

適切な保存状態であれば、卵は比較的長期間その品質を保ちます。

一般的な卵の賞味期限の目安は以下のとおりです:

卵を購入したらパックに日付を書いておくと、経過日数を正確に把握できます。

また、卵はとがった方を下にして保存すると、黄身が中央に位置し続けるため鮮度が保ちやすくなります。

冷蔵庫で保存する場合、卵は気孔から臭いを吸収しやすいため、ニオイの強い食品から離して保管することが大切です。

また、温度変化も鮮度低下の原因になるので、冷蔵庫のドア部分ではなく、温度が安定している内部に保存するのがおすすめですよ。

卵の鮮度は料理の仕上がりに大きく影響します。

これらの方法を組み合わせて確認することで、より正確に鮮度を判断できるようになります。

新鮮な卵を選べば、黄身の味わいや風味を最大限に生かした料理を楽しめるでしょう。

料理別に適した卵の鮮度の選び方

料理によって必要とされる卵の鮮度は異なります。

新鮮な卵が常に最適というわけではなく、料理の種類や調理法によって適した鮮度があるんですよね。

適切な鮮度の卵を選ぶことで、料理の仕上がりや風味を最大限に引き出すことができます。

生食に適した卵の鮮度レベル

生で食べる卵料理には、最も新鮮な卵を選ぶことが重要です。

卵かけご飯や生卵を使った寿司、マヨネーズなどの調理には、産卵から3日以内の卵が理想的です。

こうした新鮮な卵は、黄身が盛り上がって丸く、濃い黄色または橙色をしています。

また、卵白と黄身がしっかり分離しており、卵白に透明感があるのも特徴です。

生食用の卵を選ぶ際のチェックポイントとして、殻に「生食用」と表示されているものを選びましょう。

GPマークやJASマークが付いた卵も安全性が高いです。

さらに、冷蔵庫から取り出した際に冷たさがしっかりと感じられる卵を選ぶことも大切です。

生食で卵を使う場合は、食中毒のリスクを避けるため、必ず賞味期限内で新鮮な卵を使用し、使用前に殻に汚れや亀裂がないかも確認することが安心安全につながります。

加熱料理に使う卵の鮮度判断

目玉焼きや温泉卵、茶碗蒸しなどの加熱料理には、産卵から1週間以内の比較的新鮮な卵が適しています。

ただし、産卵直後の極端に新鮮な卵よりも、2~5日程度経過した卵の方が扱いやすい場合もあります。

産卵から少し時間が経った卵は、黄身の周りの卵白が少し緩み、熱を均等に伝えやすくなります。

炒り卵や卵焼きなどの強火で手早く調理する料理では、産卵から7~10日程度の卵が扱いやすいです。

この程度の鮮度の卵は黄身の膜が若干弱まり、卵白との混ざりが良くなるため、ふんわりとした仕上がりになります。

加熱料理に使う卵を選ぶ際は、水に入れたときに水底に横たわる程度の鮮度が扱いやすいでしょう。

完全に沈みきらず、やや傾いた状態で底に付くものが目安となります。

お菓子作りに最適な卵の選び方

お菓子作りでは、産卵から7~14日程度の卵が理想的です。

特にメレンゲを作るケーキやスフレなどのふわふわした食感を求める場合、産卵から少し時間が経った卵の方が泡立ちが良くなります。

新しすぎる卵はタンパク質が強固で泡立ちにくく、古すぎる卵は膨らみが悪くなってしまいます。

クッキーやシュークリームなど、卵の乳化作用を活かしたお菓子には、産卵から10日前後の卵が適しています。

こうした卵は黄身と白身の性質が安定しており、生地に均等に混ざりやすくなります。

お菓子作りでは常温に戻した卵を使うことが多いため、冷蔵庫から出してから30分程度置いてから使うようにしましょう。

また、卵を分離させて使う場合、新鮮すぎない卵の方が黄身と白身の分離が容易です。

料理の仕上がりに影響する鮮度の違い

卵の鮮度は料理の仕上がりに大きく影響します。

極めて新鮮な卵は、黄身が盛り上がり、見た目が美しい半面、白身と黄身の分離が難しく、調理操作が難しいケースもあります。

一方、適度に時間が経った卵は調理しやすく、特定の料理では風味や食感が向上することもあります。

例えば、ゆで卵では少し時間の経った卵(10~14日程度)の方が殻がむきやすくなります。

これは時間の経過とともに卵内部のpH値が上昇し、殻と卵白の間の膜が弱くなるためです。

新鮮なゆで卵は殻がくっついて剥きにくく、見た目が損なわれがちです。

料理の種類によって最適な卵の鮮度を選ぶことで、料理の仕上がりは格段に向上します。

お店で複数の卵を購入した場合は、日付ごとに分けて保存し、用途に応じて使い分けるとより満足度の高い料理ができるでしょう。

生食には最も新鮮なものを使い、時間が経つにつれてお菓子作りやゆで卵用に回すという使い方も効率的です。

新鮮卵を長持ちさせる保存テクニック

卵を長持ちさせるには適切な保存方法が欠かせません。

鮮度を保つための正しい保存方法を知ることで、卵の美味しさと栄養価を長く維持できるのです。

ここからは、家庭でできる卵の保存テクニックについて詳しく解説していきます。

冷蔵庫での正しい保存位置

卵は冷蔵庫内のどこに置くかで鮮度の保ち方が大きく変わります。

最適な保存場所は冷蔵庫の中段または下段の奥側です。

多くの冷蔵庫のドア部分には卵用のポケットが付いていますが、ここは開閉のたびに温度変化が大きいため実は適していません。

冷蔵庫内部の温度は平均して約3〜5℃に保たれていますが、ドア部分は開閉のたびに10℃以上も上昇することがあります。

この温度変化が卵の品質劣化を早める原因となるのです。

家庭用冷蔵庫の場合、ドア部分の平均温度は7〜9℃とされており、卵の理想的な保存温度である4℃前後よりも高くなりがちです。

また、購入時のパックやケースに入れたまま保存するのがおすすめです。

これには2つの理由があります。

1つは卵の殻に付着している細菌の拡散を防ぐこと、もう1つは卵の乾燥を防ぐことです。

市販のパックは通気性と保湿性のバランスが考慮されて設計されています。

冷蔵庫内でも野菜や強い匂いのする食品からは離して保存すると、卵特有の匂い移りを防ぐことができます。

正しい保存位置を選ぶだけで、卵の鮮度を1週間以上長持ちさせることも可能なのです。

温度と湿度の理想的な条件

卵の鮮度を長持ちさせるための最適な温度と湿度には明確な基準があります。

理想的な保存温度は4℃前後、湿度は70〜80%程度が最適とされています。

これより温度が高いと卵内部での細菌増殖が早まり、湿度が低すぎると卵の水分が蒸発して品質が低下します。

市販の卵は流通過程で洗浄されており、この過程で卵の表面にあるクチクラ層(保護膜)が部分的に失われています。

このため、温度・湿度管理が特に重要になるのです。

日本の家庭用冷蔵庫の平均湿度は50〜60%程度ですが、これは若干乾燥気味です。

温度変化も卵の品質に大きく影響します。

室温と冷蔵を繰り返すと、卵の内部と外部で温度差による結露が発生し、これが細菌繁殖の原因となります。

一度冷蔵した卵は、できるだけ一定温度で保存し続けることが大切です。

家庭の冷蔵庫で湿度を適切に保つには、卵を購入時のパックに入れたまま保存するか、専用の卵ケースを使用するのが効果的です。

市販のプラスチック製卵ケースは、適度な通気性と保湿性を兼ね備えています。

必要以上に乾燥させないことが、卵の品質維持には重要なポイントとなります。

鮮度を保つための向きと置き方

卵の保存では、置き方や向きも鮮度を左右する重要な要素です。

最も理想的な保存方法は、とがった方を下にして保存する「尖端部下向き法」です。

この方法には科学的な根拠があります。

卵の内部には「気室」と呼ばれる空気の溜まる空間が存在し、これは通常丸い方(鈍端部)にあります。

とがった方を下にして保存すると、黄身が気室から離れた位置に保たれ、空気に触れる面積が最小限に抑えられます。

これにより黄身の水分蒸発が防止され、鮮度が長持ちするのです。

農林水産省の研究によると、尖端部下向きで保存した卵は、横向きや鈍端部下向きで保存した卵と比べて、2週間後の黄身の盛り上がり度合いが約15%高く保たれるという結果が出ています。

また、卵を重ねて保存すると圧力で殻にヒビが入りやすくなります。

ヒビは目に見えない微細なものでも、そこから細菌が侵入する経路となりますので注意が必要です。

購入時のパックやケースで1段に並べて保存するのが理想的です。

日本の食品衛生法では、卵の保存温度は10℃以下と定められていますが、家庭では4℃前後の冷蔵保存で、とがった方を下にして保存することで、賞味期限を1週間程度延ばせることもあります。

卵の向きという小さな工夫が、大きな鮮度の違いを生み出すのですね。

卵のパック買いをしたときの日付管理法

卵をまとめ買いした際には、適切な日付管理が鮮度維持のカギとなります。

スーパーやディスカウントストアでの10個入り、20個入りなどのパック買いは経済的ですが、使い切るまでの日数が長くなるため工夫が必要です。

最も基本的な方法は、パックに購入日と賞味期限を油性ペンで明記することです。

市販の卵パックには既に賞味期限が印字されていますが、開封後は別途管理する必要があります。

産地直送や農家から直接購入した卵には賞味期限が明記されていないこともあるため、購入日から夏場は2週間、冬場は3週間を目安に記入しておくと便利です。

大量に卵を購入した場合、全ての卵を同じ条件で保存すると、使用するときにどれが古いものかわからなくなります。

このため、「ローテーション法」を取り入れるとよいでしょう。

具体的なローテーション法としては、新しく買った卵は冷蔵庫の奥に置き、先に購入した卵を手前に置いて古いものから使う「先入れ先出し」の考え方が有効です。

また、1パックを複数の小さなケースに分けて保存し、1つずつ使い切る方法も効果的です。

日本の家庭での卵の平均消費量は週に6〜8個程度と言われています。

この消費ペースを考慮して、2週間分をまとめ買いするなら10〜16個が適量でしょう。

使用頻度が高い場合は、数日分ずつ小分けにして保存すると、開封の頻度が減って鮮度が長持ちします。

卵は一度開封すると湿度管理が難しくなるため、この点も考慮した日付管理が大切です。

よくある質問(FAQ)

卵の黄身の色や状態で鮮度はわかるのですか?

黄身の色や状態は卵の鮮度を判断する重要な指標です。

新鮮な卵の黄身は盛り上がって丸みがあり、色は濃い黄色または橙色をしています。

時間が経つにつれて黄身は平べったくなり、色も薄くなります。

また、新鮮な卵の黄身は膜が強いため形を保ちやすいですが、古くなると膜が弱くなり簡単に広がってしまいます。

卵を水に入れると浮くのはなぜですか?

卵が水に浮くのは、時間の経過とともに殻の気孔から水分が蒸発し、内部の気室が大きくなるためです。

新鮮な卵は水分含有量が多いため水よりも重く、完全に沈みます。

しかし古くなるにつれて水分が減少し気室が大きくなることで卵全体の密度が下がり、次第に浮くようになります。

この性質を利用した水中テストは、卵の鮮度を簡単に判断できる方法です。

卵の鮮度と料理の相性はありますか?

はい、料理によって適した卵の鮮度は異なります。

生食(卵かけご飯など)には産卵から3日以内の非常に新鮮な卵が最適です。

目玉焼きや温泉卵には1週間以内の新鮮な卵が向いています。

一方、スクランブルエッグやオムレツには7〜10日程度経過した卵の方が扱いやすく、メレンゲなどのお菓子作りには7〜14日程度の卵が理想的です。

ゆで卵は少し時間の経った卵(10〜14日)の方が殻がむきやすくなります。

冷蔵庫での卵の正しい保存方法を教えてください

卵を冷蔵庫で保存する場合、最適な場所は中段または下段の奥側です。

ドア部分は開閉による温度変化が大きいため避けましょう。

また、とがった方を下にして保存すると黄身が気室から離れた位置に保たれ、鮮度が長持ちします。

理想的な保存温度は4℃前後、湿度は70〜80%程度です。

購入時のパックに入れたままか専用の卵ケースを使用し、購入日や賞味期限を記入しておくと管理しやすくなります。

自宅で卵の鮮度を簡単に確認する方法はありますか?

卵の鮮度を家庭で簡単に確認する方法はいくつかあります。

水中テストでは新鮮な卵は完全に沈み、古くなるほど浮きます。

卵を軽く振って音を聞く方法では、新鮮な卵はほとんど音がせず、古い卵はカラカラと音がします。

また、卵を割ってみて黄身の盛り上がりを確認する方法も効果的です。

新鮮な卵の黄身は高く盛り上がり、古くなるほど平べったくなります。

暗い部屋で光に透かして内部を観察する検卵法も、空気室の大きさや黄身の位置から鮮度を判断できる便利な方法です。

日本農林規格(JAS)では卵の鮮度はどう評価されていますか?

日本農林規格では卵の品質を「AA」「A」「B」の3つに格付けしています。

この基準ではハウユニット(HU)という卵の内部品質を表す値が重要で、72以上が「AA」、58〜71が「A」、31〜57が「B」とされています。

「AA」クラスの卵は黄身が高く盛り上がり、濃厚卵白が多いという特徴があります。

この他にも、卵の殻の状態や気室の大きさなども評価基準に含まれており、市販されている卵は一般的に「A」クラス以上のものが多いです。

まとめ

卵の鮮度は黄身の盛り上がりと色で簡単に見分けられます。

新鮮な卵ほど黄身が盛り上がって丸く、色が濃く、膜が丈夫という特徴があります。

時間が経つと黄身は平たくなり、膜も弱くなっていくのです。

鮮度の良し悪しは料理の出来栄えを左右するため、正しく判断できるようになると料理の質が格段に向上します。

卵の鮮度チェック法を実践して、用途に応じた卵の使い分けをすれば、毎日の料理がワンランクアップします。

購入したら日付をメモしておき、黄身や浮き沈みをチェックする習慣をつけると、家族に安全でおいしい卵料理を提供できますよ。

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