【医師監修】離乳食で卵アレルギー!時間別の症状と適切な対処法を解説

初めての離乳食、特に卵はアレルギー反応が心配ですよね。初めて卵を与えた後、赤ちゃんの様子がいつもと違う…もしかしてアレルギー?と不安になる方も多いのではないでしょうか。 このページでは、医師監修のもと、離乳食における卵アレルギーについて詳しく解説します。卵をいつから与えて良いのか、アレルギー反応の出やすい食材、そして時間別に現れる具体的なアレルギー症状(皮膚、呼吸器、消化器など)を分かりやすく説明します。離乳食と卵アレルギーに関する疑問や不安を解消し、安心して赤ちゃんに離乳食を進めていけるようになるでしょう。よくある質問もまとめていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

離乳食と卵アレルギー インフォグラフィック

離乳食と卵アレルギー完全ガイド

赤ちゃんの安全な離乳食のために知っておくべきこと

離乳食は赤ちゃんにとって、母乳やミルク以外の食品を初めて口にする大切な時期です。同時に、食物アレルギーを発症する可能性のある時期でもあります。特に卵はアレルギーを起こしやすい食材として知られており、離乳食初期から注意が必要です。
赤ちゃんの成長にとって重要な離乳食期に、卵アレルギーについて正しく理解し、適切な対応をすることが大切です。

1. 卵はいつから与えて良い?

厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」によると、卵は離乳食初期(5~6か月頃)から与えることができます。

5-6ヶ月

離乳食初期

固ゆで卵の黄身をすりつぶして、ごく少量から開始

7-8ヶ月

離乳食中期

全卵(卵白を含む)を少量ずつ開始可能

初めて卵を与える時のチェックリスト

午前中に与える
食後2時間は注意深く観察
他の食材と混ぜずに単体で与える
家族にアレルギーがある場合は特に慎重に

📋 原材料表示の確認ポイント

加工食品を選ぶ際は、必ず原材料表示を確認しましょう。

  • 「卵」「卵白」「卵黄」の表示
  • 「レシチン(卵由来)」などの表示
  • 市販のベビーフードは「卵不使用」表示を確認

2. アレルギー反応の出やすい食材一覧

食材 開始時期 注意点
5-6ヶ月〜 黄身から開始、全卵は7-8ヶ月から
牛乳 9-11ヶ月〜 最初は少量から、消化の様子を確認
小麦 9-11ヶ月〜 うどんやパンなど加熱したものを少量から
大豆 7-8ヶ月〜 豆腐や納豆など加熱したものを少量から
そば 1歳〜1歳半 アレルギー反応が出やすいので特に注意
ピーナッツ 1歳〜1歳半 粒のままは窒息の危険あり
甲殻類 1歳〜1歳半 加熱してもアレルギー物質は残る
魚類 9-11ヶ月〜 新鮮なものを選び、しっかり加熱

重要:アレルギー反応は個人差が大きく、同じお子さんでも、その時の体調や摂取量によって症状の程度が異なる場合があります。少しでも異常を感じたら、すぐに医療機関に相談することが大切です。

3. 卵アレルギーの症状(時間別)

即時型反応(数分〜30分以内)

皮膚症状

  • じんましん
    皮膚が赤く盛り上がり、強いかゆみを伴います。全身に広がることもあります。
  • 紅斑
    皮膚が赤くなります。
  • 腫れ
    まぶたや唇などが腫れることがあります。特に口の周りの腫れは要注意です。
  • かゆみ
    全身にかゆみを感じることがあります。

呼吸器症状

  • くしゃみ
    立て続けにくしゃみが出ます。
  • 鼻水・鼻づまり
    水のような鼻水が出ます。鼻が詰まります。

  • 乾いた咳やゼーゼーという喘鳴を伴う咳が出ることがあります。
  • 呼吸困難
    息苦しさを感じ、呼吸が速くなったり浅くなったりします。重症の場合は、呼吸ができなくなることもあります。

消化器症状

  • 嘔吐
    食べたものを吐き戻します。
  • 下痢
    水のような便や血が混じった便が出ることがあります。
  • 腹痛
    強い腹痛を訴えることがあります。
  • 口の周りの違和感
    口の中や唇がしびれたり、イガイガしたりする感じがあります。

遅延型反応(数時間後)

遅延型反応は、摂取後数時間から数日後に症状が現れる反応です。即時型反応とは異なり、IgE抗体以外の免疫反応が関わっていると考えられています。皮膚症状が中心で、呼吸器症状はあまり見られません。

皮膚症状

  • アトピー性皮膚炎の悪化
    既存のアトピー性皮膚炎が悪化したり、新たに発症したりすることがあります。
  • 湿疹
    赤みやかゆみのある湿疹が、顔や体、手足などに出現します。
  • じんましん
    即時型と同じようにじんましんが出ることもあります。

消化器症状

  • 嘔吐
    繰り返し吐くこともあります。
  • 下痢
    粘液や血液が混じることもあります。
  • 便秘
    便が出にくくなることがあります。
  • 腹痛
    鈍い痛みや激しい痛みなど、様々な腹痛があります。
  • 血便
    便に血が混じることがあります。

4. アレルギー反応が出た時の対処法

軽度の症状の場合

卵の摂取をすぐに中止する
症状の変化を注意深く観察する(悪化しないか確認)
水分補給を行う(母乳、ミルク、経口補水液など)
嘔吐が続く場合は少量ずつこまめに水分補給
清潔を保つ(嘔吐物の適切な処理、口の周囲を清潔に)
症状を写真に撮って記録する
かかりつけ医に連絡する(初めての反応の場合は特に重要)

記録のポイント:体温、呼吸、脈拍などを確認し、症状の写真と合わせて医師に伝えましょう。

症状別の対処法一覧

症状 対処法
皮膚のかゆみ、じんましん、赤み 卵の摂取を中止し、様子を見る。症状が強い場合は、かかりつけ医に相談する。
嘔吐、下痢、腹痛 水分補給をこまめに行う。嘔吐が続く場合は、かかりつけ医に相談する。
呼吸困難、ゼーゼーとした呼吸、咳 直ちに救急車を呼ぶ。
意識障害、顔面蒼白、ぐったりしている 直ちに救急車を呼ぶ。エピペンが処方されている場合は使用する。

⚠️ 重度の症状(アナフィラキシー)の場合

以下の症状が見られたら直ちに救急車を呼んでください:

  • 呼吸困難・ゼーゼーとした呼吸
  • 意識障害
  • 顔面蒼白
  • 全身のじんましん
  • ぐったりしている
救急車を呼ぶ際に伝えること
  1. 発生場所(正確な住所・目印となる建物)
  2. お子さんの年齢と性別
  3. 現在の症状(呼吸困難、意識障害など具体的に)
  4. 卵を食べたこと
  5. 過去のアレルギー反応の有無
エピペンについて

医師からエピペンを処方されている場合は、救急車を待つ間に使用してください。

注意:エピペンはアナフィラキシーショックの症状を一時的に緩和するための補助的な治療法であり、根本的な治療ではありません。エピペンを使用した後も必ず救急車で医療機関を受診してください。

エピペンの使用方法については、医師または薬剤師から十分な説明を受けてください。また、アナフィラキシーネットワークのウェブサイトでも情報が提供されています。

5. 卵アレルギーと診断された場合の今後

除去食について

卵アレルギーと診断された場合、原因となるアレルゲンを除去した食事、つまり「除去食」が必要です。卵には、卵白と卵黄があり、それぞれに異なるアレルゲンが含まれています。医師の指示に従い、卵白、卵黄、あるいはその両方を除去します。

除去する食材 代替食材の例
卵(卵白・卵黄) 鶏肉、豚肉、牛肉、魚、豆腐、納豆、高野豆腐など

⚠️ 栄養バランスの注意点

卵は良質なタンパク質やビタミン、ミネラルを豊富に含む食材です。除去する場合は、他の食材で栄養を補う工夫が必要です。

  • タンパク質:肉、魚、大豆製品などで補う
  • ビタミン・ミネラル:野菜や果物で補う
  • 栄養バランスの取れた食事を心がけ、健やかな成長をサポート
  • 具体的な代替食材については、医師や管理栄養士に相談

除去食を行う上での重要ポイント

完全除去が必要な場合:

  • 加工食品中の卵成分にも注意が必要
  • 原材料表示をよく確認する
  • 一見卵が含まれていないように見える食品にも使用されていることがある
  • 市販のベビーフードを選ぶ際は、卵不使用のものを選ぶ

卵を含む加工食品の例

マヨネーズ 要注意度
100%
カステラ・プリン 要注意度
90%
麺類(一部) 要注意度
60%

医師への相談の重要性

除去食の実施にあたっては、自己判断せず、必ず医師や管理栄養士の指導を受けるようにしましょう。

  • 除去する食品の種類や範囲は専門家の判断が必要
  • 代替食品の選択について専門的なアドバイスを受ける
  • 自己判断での除去は栄養バランスの乱れやアレルギー症状の悪化を招く可能性
  • 成長に伴い食べられるようになる場合もある
  • 定期的な診察と検査を受けることが大切
  • 医師との連携を密にすることで、安全かつ適切な除去食を進めることができる

アレルギー検査について

アレルギー検査は、どの食物にアレルギーがあるのかを特定するために重要な検査です。血液検査や皮膚テストなど、いくつかの種類があります。医師の指示に従い、適切な検査を受けましょう。アレルギー検査の結果は、除去食の範囲を決定する上で重要な情報となります。また、成長とともにアレルギーが治まる場合もありますので、定期的な検査を受けることで、除去食の継続の必要性や範囲を判断することができます。

検査の種類 内容 特徴
血液検査 IgE抗体の量を測定 採血だけで済み、乳幼児でも比較的簡単
皮膚プリックテスト アレルゲンを皮膚につけて反応を見る 短時間で結果がわかる
食物経口負荷試験 少量の食物を摂取し症状を確認 確定診断に有用だが専門医療機関で実施

6. よくある質問

Q1. 加熱すれば卵アレルギーは大丈夫?

A. いいえ、加熱しても卵アレルギーは必ずしも大丈夫ではありません。卵アレルギーの原因となるアレルゲンは、加熱によって変化するものと変化しないものがあります。

オボアルブミンなどは加熱によって変性し、アレルギー反応を起こしにくくなることがあります
オボムコイドなどのアレルゲンは加熱しても安定しており、アレルギー反応を引き起こす可能性があります

そのため、加熱した卵であっても、アレルギーのあるお子さんには与えないように注意が必要です。ごく微量でも反応を起こす可能性があるため、加工食品に含まれる卵成分にも注意が必要です。

Q2. 卵アレルギーは治るの?

A. はい、治る可能性があります。乳幼児期の卵アレルギーは比較的治りやすく、年齢とともに耐性が獲得されるケースが多いです。ただし個人差があるため、医師の指示に従って検査や負荷試験を行うことが重要です。

Q3. 他の食物アレルギーにも注意が必要?

A. はい、卵アレルギーの方は牛乳アレルギーや小麦アレルギーなど、他の食物アレルギーを併発するリスクが高いことが知られています。これは、アレルギーを起こしやすい体質や腸内環境などが関係していると考えられています。複数の食物アレルギーがある場合は、それぞれのアレルゲンを除去する必要があります。また、食物アレルギー以外にも、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー疾患を併発する可能性もありますので、注意深く観察し、気になる症状があれば医師に相談しましょう。

アレルギーの種類 主な症状 注意点
牛乳アレルギー 下痢、嘔吐、湿疹、じんましん、呼吸困難など 乳製品を含む加工食品にも注意が必要
小麦アレルギー 下痢、嘔吐、湿疹、じんましん、呼吸困難など パン、麺類、小麦粉を含む加工食品にも注意が必要
ピーナッツアレルギー じんましん、呼吸困難、アナフィラキシーショックなど 重篤な症状が出やすい

Q4. 卵アレルギーと診断されたら?

A. まず医師の指示に従って卵を除去することが重要です。除去の程度や方法は、アレルギーの重症度や年齢によって異なります。アレルギー症状が出た場合の対処法や緊急時の対応についても確認し、定期的な検査と診察を受けて適切な対応を続けましょう。

Q5. 卵アレルギーの検査方法について教えて

A. 卵アレルギーの検査には、主に血液検査と皮膚プリックテストがあります。血液検査では、卵白中の特定の成分に対するIgE抗体の量を測定します。皮膚プリックテストでは、卵白エキスを皮膚に少量つけて反応を見る検査です。どちらの検査も痛みはほとんどありません。検査結果や症状、年齢などを総合的に判断して、アレルギーの有無や重症度を診断します。検査を受ける時期や方法は医師と相談して決めましょう。

7. まとめ – 押さえておくべきポイント

この記事では、離乳食における卵アレルギーについて、時間別の症状、適切な対処法、そして今後の離乳食の進め方について解説しました。

卵は栄養価の高い食材ですが、アレルギー反応の出やすい食材の一つでもあります。初めて卵を与える際は、少量から始め、赤ちゃんの様子をよく観察することが大切です。

アレルギー反応は、摂取後数分~30分以内に現れる即時型と、数時間後に現れる遅延型があります。即時型では、皮膚症状(じんましん、赤み、腫れ)、呼吸器症状(咳、ゼーゼー)、消化器症状(嘔吐、下痢)などがみられます。遅延型では、皮膚症状や消化器症状が中心です。

軽度の症状であれば、様子を見ることで治まる場合もありますが、呼吸困難や意識障害などの重度の症状(アナフィラキシー)が現れた場合は、直ちに救急車を呼び、指示に従いましょう。エピペンを処方されている場合は、使用をためらわずに利用することが重要です。

医師の診察を受け、卵アレルギーと診断された場合は、除去食が必要になります。除去食とは、原因となるアレルゲンを除去した食事のことです。自己判断で除去するのではなく、医師や管理栄養士の指導のもと、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。また、他の食物アレルギーの可能性についても、医師に相談することが大切です。

定期的なアレルギー検査で、アレルギーの状態を確認することも重要です。正しい知識と適切な対応で、赤ちゃんをアレルギーから守り、安全な離乳食を進めていきましょう。

✓ 重要ポイントチェックリスト

卵は離乳食初期(5-6ヶ月)から少量ずつ開始可能
初めて与える時は午前中に、単体で少量から
食後2時間は注意深く観察する
症状は即時型(30分以内)と遅延型(数時間後)がある
軽度の症状でも医師に相談する
アナフィラキシーの症状を理解し、緊急時は迷わず救急車を呼ぶ
除去食は医師の指導のもとで行う
定期的な検査で状態を確認する

最後に

卵アレルギーは適切な対応により管理可能です。
正しい知識と医師との連携で、
赤ちゃんの安全な離乳食を進めていきましょう。

参考資料:

  • • 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」
  • • 日本アレルギー学会
  • • 環境省「食物アレルギーについて」
  • • 協和キリン「食物アレルギーについて」
  • • マルホ「食物アレルギーについてもっと知る」
  • • 鳥居薬品「アレルギー検査について」
  • • アナフィラキシーネットワーク
  • • アレルギーポータル「食物アレルギーについて」
  • • 厚生労働省「食物アレルギー診療ガイドライン2021」
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