卵は完全栄養食!1日に何個まで食べてOK?効果と注意点まとめ

「卵は完全栄養食だから毎日食べたいけど、何個まで大丈夫なの?」という疑問をお持ちの方へ。
「卵かけご飯」や「だし巻き卵」など日本の食卓でおなじみの簡単レシピもご紹介するので、毎日の食事に安心して卵を取り入れる参考にしてください。
冷蔵庫での正しい保存方法も知っておくと、いつでも新鮮な卵を楽しめますよ。家族の健康を考える主婦の方や、健康管理に関心のある方にとって、卵の正しい知識が身につく内容となっています。
卵は本当に完全栄養食?
栄養価と健康効果の完全ガイド
卵は本当に完全栄養食?
「卵は完全栄養食」とよく耳にしますが、実際のところ本当なのでしょうか?栄養士の立場から科学的な根拠に基づいて解説します。
完全栄養食の定義とは
そもそも「完全栄養食」とは、一種類だけで人間に必要な栄養素をすべて、あるいはほとんど含む食品のことを指します。厳密に言えば、世の中に完璧な完全栄養食は存在しません。人間が生きていくために必要な栄養素はあまりに多岐にわたるからです。
しかし、非常に栄養バランスが優れていて、多くの必須栄養素を含む食品を一般的に「完全栄養食」と呼ぶことがあります。その代表格が「卵」なのです。
完全栄養食の3つの条件
条件 | 説明 |
---|---|
必須栄養素を多く含む | タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく含む |
吸収率が高い | 含まれる栄養素が体内で効率よく利用される |
必須アミノ酸のバランス | 9種類の必須アミノ酸をバランスよく含む |
卵の栄養素について
卵は重量の約74%が水分ですが、残りの26%には驚くほど多くの栄養素が凝縮されています。卵1個(Mサイズ約60g)あたりのカロリーは約90kcalほどで、その栄養価は非常に高いと言えます。
文部科学省の日本食品標準成分表によると、卵にはさまざまな栄養素が含まれています。
卵のタンパク質は消化吸収率も90%以上と非常に高く、体内で効率よく利用されます。これは肉類や植物性タンパク質と比較しても優れています。
必須アミノ酸をバランス良く含む
卵の最大の特徴は、体内で合成できない9種類の必須アミノ酸をバランスよく含んでいる点です。タンパク質の質を示すアミノ酸スコアタンパク質の品質を評価する指標は100満点中100点と理想的です。
必須アミノ酸含有量(鶏卵100gあたり)
必須アミノ酸の詳細情報
必須アミノ酸 | 含有量 | 働き |
---|---|---|
リジン | 約0.9g | 成長促進、カルシウム吸収 |
メチオニン | 約0.4g | 解毒作用、脂肪燃焼 |
トリプトファン | 約0.2g | セロトニン合成、睡眠改善 |
フェニルアラニン | 約0.7g | 神経伝達物質の生成 |
スレオニン | 約0.6g | 成長促進、肝機能向上 |
バリン | 約0.8g | 筋肉の修復・成長 |
イソロイシン | 約0.7g | 筋肉の修復、エネルギー生成 |
ロイシン | 約1.1g | 筋肉タンパク質の合成 |
ヒスチジン | 約0.3g | 成長、組織修復 |
ビタミン・ミネラルも豊富
卵は、ビタミンA、D、E、B2、B12などのビタミン類や、鉄、亜鉛、セレンなどのミネラルも豊富に含んでいます。
特に卵黄に含まれるビタミンDは日本人に不足しがちな栄養素で、卵は数少ない食品由来のビタミンD供給源となっています。カルシウムの吸収を助け、骨の健康に寄与します。
また、卵黄に含まれるレシチンは、脳の神経伝達物質であるアセチルコリンの原料となるため、認知機能の維持にも役立つと考えられています。
主な栄養素と働き(卵1個あたり)
栄養素 | 含有量 | 主な働き |
---|---|---|
タンパク質 | 約6.2g | 筋肉・臓器の構成成分、免疫力向上 |
ビタミンA | 約80μg | 視力維持、皮膚・粘膜の健康維持 |
ビタミンD | 約1.7μg | カルシウム吸収促進、骨の形成 |
ビタミンE | 約0.5mg | 抗酸化作用、老化防止 |
ビタミンB2 | 約0.4mg | エネルギー代謝、皮膚や粘膜の健康維持 |
ビタミンB12 | 約0.5μg | 赤血球形成、神経機能維持 |
葉酸 | 約25μg | 細胞分裂、DNA合成 |
鉄分 | 約0.8mg | 酸素運搬、貧血予防 |
亜鉛 | 約0.8mg | 味覚維持、皮膚の健康、免疫機能 |
セレン | 約20μg | 抗酸化作用、甲状腺ホルモン代謝 |
また特筆すべきは、卵黄に含まれるルテインとゼアキサンチンです。これらは目の網膜に存在するカロテノイドで、ブルーライトから目を保護し、加齢黄斑変性症のリスクを低減する可能性があることが研究で示されています。
卵の栄養バランス
卵が完全栄養食と言われる理由
卵が完全栄養食と言われる理由は、一言でいえば「一個の卵から一羽のヒヨコが孵化できる」という点に集約されます。つまり、卵の中には生命を育むために必要な栄養素のほとんどが含まれているということです。
卵が完全栄養食と呼ばれる6つの理由
- タンパク質の質が非常に高い(アミノ酸スコア100)
- 必須脂肪酸を含む良質な脂質を含む
- 水溶性・脂溶性の両方のビタミンが豊富
- ミネラルバランスが優れている
- コリンやルテインなど機能性成分も含む
- エネルギー効率が良い(低カロリーで高栄養)
ただし、卵だけでは不足する栄養素もあります。例えば、ビタミンCやカルシウム、食物繊維は卵にはほとんど含まれていません。したがって、卵は優れた栄養源ではありますが、他の食品と組み合わせてバランスよく摂取することが理想的です。
日本栄養・食糧学会誌の研究によると、卵は単一食品としては最も栄養価の高い食材の一つとされています。
さらに、卵の栄養素は熱に強いものが多く、調理しても栄養価が大きく損なわれることが少ないという利点もあります。ただし、ビタミンB群の一部は水溶性のため、ゆで卵の場合は湯に溶け出してしまう点には注意が必要です。
以上のように、卵は厳密な意味での「完全」栄養食ではありませんが、単一食品としては極めて栄養バランスに優れ、私たちの健康維持に大きく貢献する食材と言えるでしょう。
卵の栄養に関するクイズ
卵を食べるメリット・効果
卵には様々な栄養素がバランスよく含まれているため、毎日の食事に取り入れることで多くの健康効果が期待できます。ここでは、卵を食べることで得られる主なメリットや効果について詳しく解説します。
健康維持に役立つ効果
卵には体の健康を維持するのに役立つ栄養素が豊富に含まれています。特に、タンパク質やビタミン類は私たちの体の機能を正常に保つために欠かせない栄養素です。
免疫力向上
卵に含まれるビタミンAやビタミンD、亜鉛などの栄養素は、私たちの免疫システムを強化するのに役立ちます。特にビタミンDは、免疫細胞の働きを活性化させ、風邪やインフルエンザなどの感染症に対する抵抗力を高める効果があることが研究で示されています。
また、卵黄に含まれるビタミンEは抗酸化作用があり、体内の酸化ストレスから細胞を守り、免疫機能の維持に貢献します。1日1個の卵を摂取することで、ビタミンDの1日推奨量の約15%を摂取できるとされています。
免疫力向上に役立つ栄養素(1日推奨量に対する割合)
厚生労働省の日本人の食事摂取基準によると、これらの栄養素は免疫機能の維持に重要とされています。
疲労回復
卵に含まれるビタミンB群(特にB2、B6、B12)は、エネルギー代謝を促進し、疲労回復を助ける効果があります。また、良質なタンパク質は筋肉の修復と回復を助け、日常の疲れを癒すのに役立ちます。
卵1個(約60g)には約6.2gのタンパク質が含まれており、これは成人女性の1日のタンパク質推奨量(約50g)の約12%に相当します。朝食に卵を摂ることで、一日の活動に必要なエネルギーをスムーズに生み出す基盤を作ることができます。
特に卵黄に多く含まれるビタミンB12は、赤血球の形成を助け、貧血予防にも効果的です。慢性的な疲労を感じている方は、朝食に卵料理を取り入れることで、エネルギッシュな一日のスタートを切ることができるでしょう。
美容効果
卵には美容に嬉しい栄養素も豊富に含まれています。内側からの美しさをサポートする卵の効果を見ていきましょう。
肌の健康維持
卵に含まれるビタミンEやルテイン、ゼアキサンチンには抗酸化作用があり、肌を紫外線や環境ストレスから守る働きがあります。また、良質なタンパク質は肌のハリや弾力を維持するコラーゲンの生成に必要不可欠です。
卵黄に含まれるビオチン(ビタミンB7)は「美容ビタミン」とも呼ばれ、健康な肌の維持に役立ちます。ビオチン不足は肌荒れや湿疹の原因になることもあるため、卵を適切に摂取することで、肌トラブルの予防にもつながります。
日本臨床栄養学会誌の研究によると、卵に含まれる抗酸化物質は肌の老化防止にも効果的とされています。
髪の毛の健康維持
卵に含まれるタンパク質や亜鉛、ビオチンは、健康な髪の成長と強度の維持に不可欠な栄養素です。髪の毛の主成分であるケラチンはタンパク質からできており、卵を摂取することで髪の毛の健康をサポートできます。
特に卵黄に含まれる亜鉛は、髪の毛の成長と修復に関わる重要なミネラルです。亜鉛不足は抜け毛や薄毛の原因になることもあります。また、卵に含まれるビタミンDやビタミンA、葉酸なども健康な髪の毛を維持するために重要な栄養素です。
加齢とともに気になる白髪の予防にも、卵に含まれるビタミンB12やビオチンが効果的とされています。これらの栄養素は、メラニン色素の生成を助け、髪の色素沈着をサポートします。
美容に効果的な栄養素
栄養素 | 美容への効果 | 卵のどの部分に多いか |
---|---|---|
ビオチン | 肌や髪の健康維持、爪の強化 | 卵黄 |
ビタミンE | 抗酸化作用、肌の保護 | 卵黄 |
ルテイン | 肌の光老化防止、目の健康維持 | 卵黄 |
亜鉛 | 髪の成長促進、肌の再生 | 全卵(黄身に多い) |
ダイエット効果
卵はダイエット中の強い味方になる食品です。高タンパク低カロリーで、満足感を得やすい特徴があります。
腹持ちが良い
卵に含まれる良質なタンパク質は、消化吸収に時間がかかるため、長時間満腹感を維持することができます。これにより、食事と食事の間の間食を減らすことができ、総カロリー摂取量を自然と抑える効果が期待できます。
国際的な栄養学雑誌の研究によると、朝食に卵を食べた人は、同じカロリーの炭水化物中心の朝食を食べた人と比較して、昼食までの空腹感が少なく、結果として1日のカロリー摂取量が少なくなったという結果が報告されています。
また、卵に含まれるコリンという栄養素は、脂肪の代謝を促進する働きがあり、ダイエットをサポートします。朝食に卵を取り入れることで、代謝が上がり、その日一日のエネルギー消費量が増加するという研究結果もあります。
低カロリー
卵1個のカロリーは約90kcalと比較的低く、タンパク質含有量が高いわりにカロリーが控えめなため、ダイエット中の食事に最適です。特に卵白は、約17kcalと非常に低カロリーで、タンパク質が豊富な食材です。
卵は、様々な調理方法で楽しむことができ、ダイエット中の食事のバリエーションを増やすのにも役立ちます。例えば、野菜たっぷりのオムレツや、サラダにゆで卵をトッピングするなど、栄養バランスの良い低カロリーな食事に取り入れることができます。
卵の部位別栄養比較
部位 | カロリー | タンパク質 | 脂質 |
---|---|---|---|
全卵1個(約60g) | 約90kcal | 約6.2g | 約6.3g |
卵白(約33g) | 約17kcal | 約3.6g | ほぼ0g |
卵黄(約17g) | 約73kcal | 約2.6g | 約6.3g |
ただし、調理法によってカロリーが大きく変わることに注意が必要です。油をたっぷり使った目玉焼きやスクランブルエッグは、カロリーが高くなります。ダイエット中は、ゆで卵や電子レンジで作る蒸し卵、油の少ない調理法を選ぶと良いでしょう。
また、卵だけに頼るダイエットは栄養バランスが偏るため避け、バランスの良い食事の中に卵を取り入れることが大切です。朝食に卵料理、昼食にサラダのトッピング、夕食に副菜として取り入れるなど、1日の食事全体のバランスを考えながら活用しましょう。
卵1日に何個まで食べてOK?
「卵は栄養満点だけど、コレステロールが気になる…」「健康のために毎日食べたいけど、何個までなら大丈夫?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。この章では、健康状態別に1日の適切な卵の摂取量について詳しく解説します。
あなたの適正な卵摂取量をチェック!
健康な人の場合
健康状態に特に問題がない方の場合、最新の研究によると1日1〜2個の卵を食べることは健康上の問題がないとされています。
アメリカ心臓協会のガイドラインでは、健康な成人であれば1日1個の卵を含む食事は心臓病リスクを高めないとしています。さらに、運動量が多い方や筋トレをされている方であれば、タンパク質の補給源として1日2〜3個の卵を摂取しても問題ないという研究結果もあります。
対象者別・推奨される1日の卵摂取量
対象者 | 推奨摂取量 | 備考 |
---|---|---|
健康な成人 | 1〜2個 | バランスの良い食事の一部として |
アスリート・運動量の多い人 | 2〜3個 | タンパク質摂取のため |
子ども(3歳以上) | 1個程度 | 成長に必要な栄養素補給として |
実は、卵に含まれるコレステロールと血中コレステロール値の関係については、近年の研究で見直されています。以前は「卵のコレステロールが直接血中コレステロールを上げる」と考えられていましたが、現在では健康な人の場合、適量の卵摂取は血中コレステロール値にほとんど影響しないことがわかっています。
むしろ卵に含まれるレシチンなどの成分は、コレステロールの吸収を抑制する働きがあるとも言われています。
コレステロール値が気になる人の場合
すでに高コレステロール血症と診断されている方や、家族歴がある方は、卵の摂取について慎重になる必要があります。
日本動脈硬化学会のガイドラインによると、高コレステロール血症の方は1日の卵黄摂取を0.5個程度に抑えることが推奨されています。
卵黄にはコレステロールが多く含まれているため、卵白だけを使った料理を増やすなどの工夫も効果的です。例えば、オムレツを作る際に卵黄1個と卵白2〜3個を使用するといった方法があります。
卵の部位別コレステロール含有量
また、卵と一緒に食物繊維を多く含む野菜や海藻類を摂ることで、コレステロールの吸収を抑える効果も期待できます。例えば、卵料理にブロッコリーやほうれん草を加えるなどの工夫をしてみましょう。
持病がある人の場合
糖尿病や心臓病などの慢性疾患をお持ちの方は、卵の摂取について特に注意が必要です。
糖尿病の方の場合、日本糖尿病学会によると、コレステロール値や腎機能によって卵の摂取量を調整することが推奨されています。一般的には1日0.5〜1個程度が目安となりますが、個人の状態によって異なります。
腎臓病の方は、タンパク質の摂取制限がある場合があります。卵は良質なタンパク質を含むため、摂取量について主治医の指導を仰ぐことが重要です。
疾患別の卵摂取注意点
疾患 | 卵摂取の注意点 | 目安量(一般的) |
---|---|---|
糖尿病 | 血糖値への影響は少ないが、コレステロール値に注意 | 1日0.5〜1個程度 |
腎臓病 | タンパク質・リン制限に注意 | 医師の指示に従う |
高血圧 | 塩分の取り過ぎに注意して調理する | 1日1個程度 |
持病のある方は、卵そのものの摂取量だけでなく、卵料理に使用する塩分や油の量にも注意が必要です。例えば、目玉焼きにかける醤油を減らしたり、マヨネーズの使用量を控えめにするなどの工夫をしましょう。
医師への相談がおすすめ
持病をお持ちの方は、卵の摂取量について必ず主治医に相談することをおすすめします。個人の健康状態、服用している薬、検査結果などによって、適切な摂取量は異なります。
定期的な健康診断で血中コレステロール値や中性脂肪値をチェックし、その結果を踏まえて摂取量を調整することも大切です。
また、1週間単位で考えることも重要です。例えば、1日に3個食べた日があっても、翌日は控えめにするなど、週単位でのバランスを意識すると、栄養摂取の幅が広がります。
卵は優れた栄養源ですが、「食べ過ぎない」「バランス良く摂取する」ことが健康維持の秘訣です。ご自身の健康状態に合わせた適切な摂取量を見つけて、卵の栄養を上手に取り入れていきましょう。
卵の摂取に関する注意点
卵は栄養価が高く、多くの健康効果をもたらす食品ですが、摂取する際にはいくつかの注意点があります。特に以下の3つのポイントについて理解しておくことが大切です。
アレルギー
卵アレルギーは、特に子どもに多くみられる食物アレルギーの一つです。日本の乳幼児の約3.5%が卵アレルギーを持っているとされています。
卵アレルギーの症状
症状の種類 | 具体的な症状 |
---|---|
皮膚症状 | じんましん、湿疹、かゆみ |
消化器症状 | 腹痛、嘔吐、下痢 |
呼吸器症状 | 鼻水、くしゃみ、喘鳴、呼吸困難 |
重症の場合 | アナフィラキシーショック(血圧低下、意識障害など) |
卵アレルギーがある方は、原材料表示を必ず確認しましょう。加工食品やレストランの料理にも卵成分が含まれていることが多いので注意が必要です。
近年の研究では、多くの子どもが成長とともに卵アレルギーを克服することがわかっています。日本小児アレルギー学会によると、卵アレルギーの子どもの約7割が6歳までに耐性を獲得するとされています。
サルモネラ菌
生卵や半熟卵を食べる際に気をつけたいのが、サルモネラ菌による食中毒リスクです。サルモネラ菌は卵の殻の表面や、まれに卵の内部に存在することがあります。
サルモネラ菌食中毒の症状と経過
潜伏期間
菌を摂取してから約8〜48時間後
初期症状
吐き気・嘔吐が現れる
主症状
下痢・腹痛が最も強く現れる
発熱
38〜39度の発熱を伴うことが多い
安全に卵を食べるための対策として、以下のポイントを押さえておきましょう:
- 購入した卵は賞味期限内に使い切る
- 卵は購入後すぐに冷蔵庫で保存する
- 高齢者や妊婦、小さな子ども、免疫力が低下している方は生卵の摂取を避ける
- 調理器具や手はしっかり洗浄する
- 加熱調理する場合は75度以上で1分以上加熱する
日本では、農林水産省の指針に基づいて生食用の卵の衛生管理が行われており、諸外国に比べて生卵を食べる文化があります。それでも、より安全に卵を楽しむためには適切な保存方法と調理方法を守ることが大切です。
食べ過ぎ
卵は栄養価が高い反面、食べ過ぎると健康に悪影響を与える可能性があります。
卵だけに頼らず、他の食品もバランスよく摂取することが健康的な食生活の基本です。卵に含まれるコレステロールについては、以前は「1日1個まで」といわれていましたが、現在の研究では健康な方であれば1日に2〜3個程度の摂取は問題ないとされています。
厚生労働省の食事摂取基準でも、コレステロールの摂取上限は撤廃されています。ただし、個人の体質や健康状態によって適切な摂取量は異なりますので、特に以下の方は注意が必要です:
対象者 | 注意点 |
---|---|
高コレステロール血症の方 | 医師の指導に従い、適切な量を摂取する |
糖尿病や心臓病の方 | 個別の状況に応じた摂取量を守る |
腎臓病の方 | タンパク質制限がある場合は注意が必要 |
卵の過剰摂取による具体的な目安として、健康な成人の場合でも1日に4個以上の摂取は控えた方が良いとされています。食事のバラエティを大切にし、野菜、果物、全粒穀物などもしっかり摂るようにしましょう。
また、卵料理の調理法によっても健康への影響は変わります。例えば、目玉焼きやオムレツを作る際に大量の油やバターを使用すると、カロリーが大幅に増加します。ゆで卵や電子レンジでの調理など、油を使わない調理法も取り入れると良いでしょう。
卵をおいしく食べるレシピ
卵は完全栄養食と呼ばれる栄養価の高さだけでなく、料理の幅も広い食材です。ここでは、日常生活で手軽に取り入れられる卵料理のレシピをご紹介します。朝食やお弁当にぴったりの卵料理で、毎日の食事をもっと楽しく健康的にしましょう。
朝食におすすめの卵料理
忙しい朝でも簡単に作れて、栄養満点の卵料理をご紹介します。朝食に卵を取り入れることで、一日のエネルギー源となるたんぱく質をしっかり摂取できます。
日本の朝食の定番である卵かけご飯は、最も手軽に卵の栄養を摂取できる方法の一つです。
材料と作り方
材料(1人前)
- ご飯 茶碗1杯
- 卵 1個
- しょうゆ 小さじ1
- かつお節 少々(お好みで)
- 刻みのり 少々(お好みで)
ご飯を茶碗に盛ります
中央にくぼみを作り、卵を割り入れます
しょうゆをかけ、お好みでトッピング
よく混ぜていただきます
栄養価を高めるコツとしては、醤油ではなく「だし醤油」を使うことで、より風味豊かになります。また、七味唐辛子や大葉、長ねぎなどをトッピングすると、風味が増すだけでなく、ビタミンなどの栄養素もプラスできます。
卵かけご飯は生卵を使用するため、鮮度の良い卵を選ぶことが重要です。農林水産省の卵の安全に関するガイドラインによると、賞味期限内で冷蔵保存されたものを使用することが推奨されています。
ふわふわの食感が魅力のスクランブルエッグは、朝食だけでなくブランチにもぴったりです。
材料と作り方
材料(2人前)
- 卵 3個
- 牛乳 大さじ1
- 塩 ひとつまみ
- こしょう 少々
- バター 10g
- パセリ(みじん切り) 適量
ボウルに卵を割り入れ、牛乳、塩、こしょうを加えて軽く混ぜます
フライパンを中火で熱し、バターを溶かします
溶き卵を流し入れ、木べらで大きく混ぜながら火を通します
半熟状態で火を止め、余熱で完成させます
パセリをトッピングして完成
ふわふわに仕上げるポイントは、卵を混ぜすぎないことと、弱めの中火でじっくり加熱することです。また、パンやサラダと一緒に食べると、栄養バランスの良い朝食になります。
スクランブルエッグにチーズやトマト、ほうれん草などを加えることで、さらに栄養価を高めることができます。日本栄養・食糧学会誌の研究によると、卵と野菜を組み合わせることで栄養素の吸収率が高まることが示されています。
お弁当におすすめの卵料理
お弁当に入れる卵料理は、彩りが良く、常温でも美味しく食べられるものがおすすめです。また、卵は傷みやすい食材のため、しっかり火を通すことが大切です。
甘さと旨味が特徴のだし巻き卵は、お弁当の定番おかずです。
材料と作り方
材料
- 卵 3個
- だし汁 50ml
- 砂糖 小さじ1
- みりん 小さじ1
- 塩 ひとつまみ
- サラダ油 適量
作り方
ボウルに卵を割り入れ、だし汁、砂糖、みりん、塩を加えて混ぜます
卵焼き器を中火で熱し、サラダ油を薄く引きます
卵液の1/3量を流し入れ、半熟状態になったら手前から巻いていきます
巻いた卵を奥に寄せ、再び油を引き、同様に残りの卵液で巻いていきます
全体に火が通ったら完成です
冷めてから切り分けます
だし巻き卵には、専用の卵焼き器があると形よく仕上がりますが、通常のフライパンでも工夫次第で美しく作ることができます。コツは弱めの中火で焦げないように注意しながら焼くことです。
お弁当に入れる場合は、完全に冷ましてから詰めることで、水分が出るのを防ぎます。日本食生活協会の研究によれば、だし巻き卵のようなしっかり火を通した卵料理は、室温でも一定時間は安全に保存できるとされています。
シンプルながら栄養満点のゆで卵は、お弁当の彩りにもなる優秀な一品です。
茹で時間による違い
仕上がり | 茹で時間 |
---|---|
半熟卵 | 約6分 |
七分卵 | 約8分 |
完全に火を通した卵 | 約10分 |
基本の作り方
鍋に卵がかぶるくらいの水を入れ、塩少々(殻が割れにくくなります)を加えます
沸騰したら弱火にし、好みの固さになるまで茹でます
茹で上がったら冷水にとり、殻をむきやすくします
完全に冷めてから殻をむき、お弁当に詰めます
ゆで卵をお弁当に入れる場合は、完全に火を通したものを選びましょう。また、見た目を楽しくするために、うずら卵を使ったり、黄身を中心にするテクニックもあります。
茹で卵の殻をむきやすくするコツは、新鮮すぎない卵を使うことと、茹で上がりすぐに冷水に浸けることです。日本食品科学工学会誌の研究によると、卵は購入後1週間程度経過したものが最も殻がむきやすいとされています。
ゆで卵をアレンジしたうずらの卵の甘辛煮や、味付け卵(味玉)も、お弁当の彩りとタンパク質源として人気があります。
卵料理は調理法を工夫することで、毎日でも飽きることなく楽しめます。栄養価が高く、手軽に作れる卵料理を日常の食事に積極的に取り入れて、健康的な食生活を送りましょう。
卵の保存方法
卵は栄養豊富な食材ですが、適切に保存しないと鮮度が落ちたり、食中毒のリスクが高まったりします。ここでは、卵を長持ちさせる正しい保存方法をご紹介します。
冷蔵庫での保存
卵を長持ちさせるなら、冷蔵庫での保存が基本です。ただし、ただ冷蔵庫に入れるだけでは不十分。正しい方法で保存することで、新鮮さを長く保つことができます。
卵は購入後すぐに冷蔵庫に入れるのがベストです。スーパーから帰ったら、まずは卵を冷蔵庫へ。夏場は特に気温が高いので、できるだけ早く冷蔵庫に入れましょう。
家庭の冷蔵庫の卵専用スペースは、多くの場合ドア部分にあります。しかし実はここは温度変化が大きい場所なので、保存場所としては最適とは言えません。
冷蔵庫での保存場所比較
保存場所 | メリット | デメリット |
---|---|---|
冷蔵庫ドア | 取り出しやすい | 温度変化が大きい |
冷蔵室内部 | 温度が安定している | スペースを取る |
できれば冷蔵室の奥など、温度が安定している場所に保存するのがおすすめです。
また、パック入りの卵はそのまま保存してOKですが、購入時のパックから出してしまった場合は、卵専用ケースを使うと便利です。ただし、洗った卵は表面の保護膜がなくなるため、早めに使い切りましょう。
冷蔵保存した卵の賞味期限は、一般的に購入日から2週間程度とされています。ただし、これは適切に保存された場合の目安です。賞味期限が過ぎたからといって、すぐに食べられなくなるわけではありませんが、なるべく新鮮なうちに食べるようにしましょう。
冷凍保存
「卵って冷凍できるの?」と思われる方も多いかもしれませんが、実は卵は冷凍保存も可能です。ただし、殻付きのまま冷凍すると殻が割れてしまうため、卵を割って中身だけを冷凍する必要があります。
卵の冷凍方法は以下の通りです:
卵の冷凍保存手順
卵を割って、黄身と白身を分ける
それぞれをよく混ぜる(特に黄身は均一になるまで)
製氷皿や小分け容器に入れて冷凍する
冷凍した卵は約3ヶ月保存可能です。解凍後は加熱調理用として使うのがおすすめ。生食には向きません。
特に白身は泡立ちが悪くなるため、メレンゲを作るなどの用途には向きませんが、スクランブルエッグやオムレツ、お菓子作りなどには問題なく使えます。
冷凍保存の種類と活用法
冷凍保存の種類 | 適した料理 | 保存期間 |
---|---|---|
全卵(混ぜたもの) | スクランブルエッグ、ケーキ、茶碗蒸し | 約3ヶ月 |
卵白のみ | クッキー、マドレーヌ | 約3ヶ月 |
卵黄のみ | カスタードクリーム、マヨネーズ | 約3ヶ月 |
卵を冷凍する際の便利な小技として、小分けにして冷凍しておくと料理に使いやすいです。例えば、一つの卵の分量(約50g)ずつ冷凍しておけば、レシピの卵1個分として使いやすいでしょう。
また、農林水産省の家庭での食品の保存方法によると、冷凍前に少量の砂糖や塩(全卵100gに対して小さじ1/2程度)を加えると、解凍後の食感が改善されるとのことです。
冷凍卵を解凍する際は、冷蔵庫でゆっくり解凍するのがベストです。急いでいる場合は、密閉容器に入れて流水で解凍する方法もあります。ただし、解凍した卵は当日中に使い切るようにしましょう。
卵をムダなく使い切るためには、保存方法を工夫するだけでなく、使用量に合わせて小分けにしておくことも大切です。例えば、余った卵白はアイスキューブトレイで小分けにして冷凍すれば、必要な分だけ使えて便利ですよ。
適切な保存方法で卵を長持ちさせて、栄養豊富な完全栄養食をムダなく活用しましょう。
まとめ
卵は「完全栄養食」と呼ばれるだけあって、必須アミノ酸をはじめ、ビタミン、ミネラルなどバランス良く栄養素を含んでいます。健康な方であれば1日1〜2個程度の摂取は問題なく、むしろ健康維持や美容に役立つことがわかりました。コレステロール値が気になる方でも、最新の研究では1日1個程度なら健康への悪影響は少ないとされています。
ただし、卵アレルギーをお持ちの方や特定の持病がある方は注意が必要です。心配な場合はかかりつけ医に相談するのがベストですね。また、どんなに栄養価の高い食品でも、偏った食生活は避けたいもの。和食の基本である「一汁三菜」のように、さまざまな食材をバランスよく摂ることが大切です。
卵は比較的安価で手に入りやすく、保存も簡単。朝食に目玉焼きや卵かけご飯、お弁当にはゆで卵やだし巻き卵など、アレンジも無限大です。お子さんからご年配の方まで、家族みんなで楽しめる身近な完全栄養食として、上手に取り入れていきましょう。明治の館の卵サラダや伊藤ハムの卵ハム、キユーピーの卵を使ったマヨネーズなど、日本の食卓に卵料理は欠かせませんね。
卵のある健康的な毎日を!
バランスよく、美味しく、楽しく♪