卵は完全栄養食?知られざる栄養価と効果的な食べ方

「卵は完全栄養食」と言われることがありますが、本当にそうなのでしょうか?この記事では、卵の栄養価値を科学的根拠に基づいて徹底解説します。
毎日の食卓に並ぶ卵をもっと賢く活用して、ご家族みんなの健康づくりにお役立てください。これを読めば、スーパーで卵を選ぶ目が変わり、キッチンでの調理も楽しくなること間違いなしです。
1. 卵は完全栄養食なの?
「卵は完全栄養食」というフレーズをよく耳にしますが、実際のところはどうなのでしょうか?栄養価が高いことは確かですが、本当に「完全」なのかを科学的な視点から解説します。
1.1 完全栄養食の定義
まず「完全栄養食」とは何かを理解しましょう。完全栄養食とは、理論上、それだけを食べ続けても人間の生命活動に必要なすべての栄養素を摂取できる食品のことを指します。
具体的には、以下の栄養素をバランス良く含んでいる必要があります:
栄養素の分類 | 具体例 | 主な役割 |
---|---|---|
三大栄養素 | タンパク質、脂質、炭水化物 | エネルギー源、体の構成要素 |
ビタミン類 | ビタミンA、B群、C、D、E、K | 代謝調整、抗酸化作用 |
ミネラル類 | カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウムなど | 骨形成、酵素活性化 |
水分 | 水 | 体内環境の維持 |
食物繊維 | 不溶性・水溶性食物繊維 | 腸内環境の改善 |
厚生労働省の栄養摂取基準によると、人間が健康を維持するためには、これらの栄養素をバランス良く摂取することが重要とされています。
1.2 卵が完全栄養食と呼ばれる理由
卵、特に鶏卵が「完全栄養食」と呼ばれる理由はいくつかあります。
卵は元々、ヒヨコが成長するために必要なすべての栄養素が詰まった「命の源」です。一つの細胞から完全な生命体を作り出すための栄養素がバランス良く含まれているのです。
具体的には以下の点が挙げられます:
- 良質なタンパク質(アミノ酸スコア100)を含む
- 必須脂肪酸がバランス良く含まれている
- ビタミンA、D、E、B群などが豊富
- 鉄、亜鉛、セレンなどのミネラルを含む
- レシチンやコリンなどの機能性成分も豊富
特に卵白に含まれるタンパク質は、日本栄養・食糧学会誌の研究によると、アミノ酸スコア100という理想的なバランスで、人間の体内でほぼ100%利用されるという特徴があります。
また、卵黄に含まれるレシチンは脳の働きを活性化させ、コリンは記憶力向上に役立つとされています。
卵の部位 | 主な栄養素 | 特徴 |
---|---|---|
卵白 | タンパク質(アルブミン) | 脂質をほとんど含まず、低カロリー |
卵黄 | 脂質、ビタミン、ミネラル | 栄養価が高く、脂溶性ビタミンが豊富 |
1.3 卵に足りない栄養素
しかし、卵がいくら栄養価に優れているとはいえ、完全な「完全栄養食」とは言い切れない面もあります。卵だけで生活を続けることは現実的ではありません。主に以下の栄養素が不足しています:
- ビタミンC:卵にはほとんど含まれていません
- 食物繊維:動物性食品のため、食物繊維はゼロです
- 炭水化物:エネルギー源としての炭水化物が少なめです
- 水分:水分含有量が限られています
例えば、ビタミンCは日本栄養・食糧学会の研究によると、コラーゲンの合成や抗酸化作用に不可欠な栄養素ですが、卵にはほとんど含まれていません。
また、食物繊維は腸内環境を整え、便通を促進する重要な栄養素ですが、卵には含まれていません。日本栄養士会誌の研究によると、食物繊維は生活習慣病予防にも重要な役割を果たしています。
さらに、エネルギー源として重要な炭水化物も卵には少なく、長期的なエネルギー確保という点では不十分です。水分含有量も人体の必要量からすれば限定的です。
卵に不足する栄養素 | 補える食品例 |
---|---|
ビタミンC | 柑橘類、キウイ、ブロッコリー、パプリカなど |
食物繊維 | 野菜、果物、豆類、全粒穀物など |
炭水化物 | 米、パン、イモ類など |
水分 | 水、お茶、スープなど |
このように、卵は非常に優れた栄養価を持ちますが、それだけで人間の必要とするすべての栄養素を満たすことはできません。卵は「準完全栄養食」と表現する方が適切かもしれません。
バランスの良い食事のために、卵を含めた多様な食品を組み合わせて摂取することが理想的です。特に野菜や果物などの植物性食品と組み合わせることで、卵の栄養価を最大限に活かすことができます。
2. 卵の知られざる栄養価

卵は私たちの食卓に欠かせない食材ですが、その栄養価の高さについては意外と知られていないことも多いものです。スーパーでいつも手に取る卵が、実はどれだけ栄養豊富な食材なのか、詳しく見ていきましょう。
2.1 タンパク質
卵はタンパク質の優秀な供給源として知られています。1個の卵(Mサイズ約60g)には約6gのタンパク質が含まれています。これは成人女性の1日のタンパク質必要量(約50g)の約12%に相当します。
2.1.1 必須アミノ酸をバランス良く含む
卵のタンパク質が特に優れているのは、人間の体が自分で作り出せない「必須アミノ酸」をバランスよく含んでいる点です。アミノ酸スコアという栄養価の指標では、卵は100点満点を獲得しています。
必須アミノ酸 | 卵1個あたりの含有量(mg) | 主な働き |
---|---|---|
リジン | 660 | 骨の形成、カルシウム吸収の促進 |
メチオニン | 310 | 肝機能の向上、解毒作用 |
トリプトファン | 150 | 睡眠の質向上、セロトニン生成 |
フェニルアラニン | 550 | 脳機能の向上、神経伝達物質の生成 |
スレオニン | 470 | 免疫機能の向上、コラーゲン生成 |
このバランスの良さから、厚生労働省の食事摂取基準でも、卵のタンパク質は「良質なタンパク質」として紹介されています。
2.1.2 筋肉増強や健康維持に効果的
卵に含まれるタンパク質は、筋肉の維持・増強に非常に効果的です。特に卵白に含まれるアルブミンは、消化吸収率が高く、筋トレ後の筋肉修復に役立ちます。
また、高齢者の方にとっては、サルコペニア(加齢による筋肉量の減少)の予防にも効果的です。毎日の食事に卵を取り入れることで、筋肉量の維持に役立ちます。
さらに、子供の成長期には質の良いタンパク質が欠かせません。卵は消化吸収も良いため、朝食に取り入れることで、子供の集中力向上や体づくりをサポートします。
2.2 ビタミン
卵は多種多様なビタミンを含む、ビタミンの宝庫とも言えます。特に卵黄に多くのビタミンが含まれています。
2.2.1 ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB群など豊富に含有
卵には脂溶性ビタミン(A、D、E)と水溶性ビタミン(B群)の両方がバランス良く含まれています。
ビタミン | 卵1個あたりの含有量 | 1日の推奨量に対する割合 | 主な働き |
---|---|---|---|
ビタミンA | 約150μg | 約20% | 視力維持、皮膚や粘膜の健康維持 |
ビタミンD | 約1.7μg | 約17% | 骨の形成、カルシウム吸収促進 |
ビタミンE | 約1.0mg | 約10% | 抗酸化作用、老化防止 |
ビタミンB2 | 約0.4mg | 約30% | エネルギー代謝、皮膚や粘膜の健康維持 |
ビタミンB12 | 約0.5μg | 約20% | 赤血球形成、神経機能の維持 |
葉酸 | 約25μg | 約6% | 細胞分裂、DNA合成、貧血予防 |
特に注目したいのは、ビタミンDとビタミンB12です。ビタミンDは食品からの摂取が難しいビタミンの一つで、日本人の多くが不足しがちとされています。また、ビタミンB12は主に動物性食品にしか含まれていないため、菜食主義の方は特に意識して摂取する必要があります。
日本栄養・食糧学会誌の研究によると、現代の日本人に不足しがちなビタミンDの摂取源として卵は有効であることが示されています。
2.2.2 美容や健康維持に欠かせない栄養素
卵に含まれるビタミンA、E、B2などは肌や髪の健康維持に欠かせません。特にビタミンEは強い抗酸化作用を持ち、細胞の酸化を防いで老化を遅らせる効果が期待できます。
また、卵黄に含まれるルテイン・ゼアキサンチンという色素成分は、目の網膜に蓄積して紫外線や青色光から目を守る働きがあります。加齢による黄斑変性症の予防にも効果があるとされています。
デジタル機器を長時間使用する現代人や、年齢とともに目の健康が気になる方にとって、卵は優れた栄養源と言えるでしょう。
2.3 ミネラル
卵にはさまざまなミネラルも含まれています。女性に特に嬉しい栄養素が多いのも特徴です。
2.3.1 鉄分、亜鉛、カルシウムなど
卵に含まれる主なミネラルとその働きを見てみましょう。
ミネラル | 卵1個あたりの含有量 | 主な働き |
---|---|---|
鉄 | 約1.0mg | ヘモグロビンの生成、酸素運搬 |
亜鉛 | 約0.8mg | 味覚維持、タンパク質合成、免疫機能 |
セレン | 約15μg | 抗酸化作用、甲状腺ホルモン代謝 |
リン | 約100mg | 骨・歯の形成、エネルギー代謝 |
カリウム | 約60mg | 血圧調整、筋肉・神経機能維持 |
特に鉄分は、吸収率の高いヘム鉄の形で含まれているため、効率よく体内に取り込まれます。野菜に含まれる非ヘム鉄と比べて2〜3倍も吸収率が高いと言われています。
2.3.2 貧血予防や骨粗鬆症予防に
日本人女性の約20%が鉄欠乏性貧血とも言われる中、卵は手軽に摂取できる鉄源として注目されています。特に月経のある女性は、定期的に鉄分を失うため、意識的に摂取することが大切です。
卵に含まれる鉄分とビタミンB12の組み合わせは、赤血球の生成をサポートし、貧血予防に効果的です。レバーなど鉄分が豊富な食材が苦手な方にとっては、卵は取り入れやすい選択肢と言えるでしょう。
また、卵に含まれるビタミンDとリンは、カルシウムの吸収と骨の形成をサポートします。直接カルシウム含有量は多くありませんが、骨の健康維持に間接的に貢献しています。
日本骨粗鬆症学会でも、骨粗鬆症予防のためにビタミンDを含む食品の摂取が推奨されています。
2.4 脂質
卵には約5gの脂質が含まれていますが、その質についても注目する必要があります。
2.4.1 コレステロール値への影響は?
かつては卵のコレステロール含有量(1個あたり約200〜300mg)が高いことから、摂取を控えるべきという見解もありました。しかし、近年の研究では、食事から摂取するコレステロールと血中コレステロール値の関係は以前考えられていたよりも弱いことが明らかになっています。
日本動脈硬化学会の最新のガイドラインでも、健康な人であれば卵の摂取制限は特に設けていません。むしろ、卵に含まれる良質なタンパク質や栄養素の摂取を考慮した上で、適量を摂取することが推奨されています。
ただし、家族性高コレステロール血症などの特定の疾患がある場合は、医師の指導のもとで摂取量を調整する必要があります。
2.4.2 良質な脂質で健康維持
卵に含まれる脂質の多くは、単価不飽和脂肪酸やリン脂質など、健康にプラスとなる脂質です。特に卵黄に含まれるレシチン(ホスファチジルコリン)は、細胞膜の主要成分であり、肝機能の向上や脳機能の維持に役立つとされています。
また、卵黄に含まれるコリンは、神経伝達物質アセチルコリンの原料となり、記憶力や集中力の維持に関わっています。妊娠中の女性にとっては、胎児の脳発達にも重要な栄養素です。
卵に含まれる脂質成分 | 含有量(1個あたり) | 健康効果 |
---|---|---|
コリン | 約125mg | 脳機能向上、肝機能サポート |
レシチン | 約1.5g | コレステロール代謝改善、細胞膜形成 |
オレイン酸(単価不飽和脂肪酸) | 約2g | 善玉コレステロール維持、抗炎症作用 |
DHA・EPA | 少量(飼料によって変動) | 脳機能向上、抗炎症作用 |
近年では、オメガ3脂肪酸を多く含む飼料で育てられた「特殊卵」も市販されています。これらの卵には通常の卵よりも多くのDHAやEPAが含まれており、心血管系の健康維持に役立つ可能性があります。
このように卵は、単なるタンパク質源としてだけでなく、多様な栄養素をバランスよく含む優れた食材です。毎日の食事に取り入れることで、健康維持に役立てることができるでしょう。
3. 卵の効果的な食べ方

卵は様々な調理法があり、どのように食べるかによって栄養素の吸収率や美味しさが変わってきます。ここでは、卵の栄養素を最大限に活かす食べ方や保存方法、一日の適切な摂取量などについてご紹介します。
3.1 卵料理のバリエーション
卵は調理法によって味わいや栄養価の吸収率が異なります。それぞれの調理法の特徴を知って、目的に合わせた食べ方を選びましょう。
3.1.1 卵焼き、目玉焼き、ゆで卵、スクランブルエッグ
日本の家庭でよく作られる卵料理にはさまざまなものがあります。それぞれの調理法の特徴と栄養面での利点を見ていきましょう。
調理法 | 特徴 | 栄養面のポイント |
---|---|---|
ゆで卵 | シンプルで手軽な調理法 | 油を使わないためカロリー控えめ。タンパク質の吸収率が高い |
目玉焼き | 黄身を半熟に調理できる | 半熟の方が熱による栄養素の損失が少ない |
卵焼き | 砂糖や醤油で味付けした日本の定番料理 | 他の食材と組み合わせることで栄養バランスアップ |
スクランブルエッグ | ふわふわの食感が特徴 | 牛乳を加えることでカルシウム摂取も可能 |
これらの基本的な調理法をマスターしておくと、日々の食事に変化をつけやすくなります。また、サラダに乗せたり、サンドイッチの具材にしたりと応用も効きます。
3.1.2 栄養素を損なわない調理法
卵に含まれる栄養素を最大限に活かすためには、調理法にも工夫が必要です。高温で長時間調理すると、ビタミンなど熱に弱い栄養素が失われてしまいます。特にビタミンBは水溶性のため、ゆでる際には注意が必要です。
栄養素をできるだけ損なわない調理のコツは以下の通りです:
- 半熟状態の方が栄養素の損失が少ない
- 短時間で調理を終える
- 電子レンジでの調理は栄養素を保持しやすい
- 温泉卵は消化吸収率が高く、栄養価を損なわない優れた調理法
特に温泉卵は、家庭でも簡単に作れる方法があり、タンパク質の消化吸収率が高いとされています。
3.2 1日に何個まで食べていいの?
「卵は1日1個」という言葉をよく耳にしますが、これは古い栄養学の考え方です。最新の研究では、健康な成人であれば1日2〜3個の卵を食べても健康上の問題はないとされています。
アメリカ心臓協会の最新ガイドラインでも、コレステロールの摂取制限が緩和され、卵の摂取量に厳しい制限を設けていません。ただし、以下のような場合は医師や栄養士に相談することをお勧めします:
- 糖尿病や心臓病など特定の疾患がある方
- コレステロール値が高い方
- 卵アレルギーがある方
年齢や性別、活動量によっても適切な摂取量は異なります。例えば、成長期のお子さんや運動量の多い方は、より多くのタンパク質を必要とするため、卵の摂取量も増やしても問題ないでしょう。
対象 | 推奨される1日の卵の摂取目安 |
---|---|
健康な成人 | 2〜3個 |
子ども(3歳以上) | 1〜2個 |
アスリートや運動量の多い人 | 3〜4個 |
高コレステロールの方 | 医師に相談(通常1個程度) |
3.3 卵のアレルギーについて
卵アレルギーは、特に子どもに多く見られる食物アレルギーの一つです。日本の乳幼児の約3〜5%が卵アレルギーを持っているとされています。しかし、成長とともに7割以上の子どもがアレルギーを克服していくと言われています。
卵アレルギーの主な症状には以下のようなものがあります:
- 皮膚症状:じんましん、湿疹、かゆみ
- 消化器症状:腹痛、嘔吐、下痢
- 呼吸器症状:くしゃみ、咳、喘息
- アナフィラキシーショック(重症の場合)
卵アレルギーがある方は、日本アレルギー学会の情報を参考に、医師の指導のもとで対応することが大切です。最近では、加熱することでアレルゲン性が低下する特性を利用した「ステップアップ療法」なども行われています。
また、卵アレルギーがあっても、症状の程度によっては一部の卵加工品は食べられる場合もあります。例えば:
- 加熱した卵黄のみ(卵白を避ける)
- 十分に加熱処理された卵を含む加工食品
- 特定の調理法で処理された卵
3.4 卵の保存方法
卵の栄養価を最大限に活かすためには、適切な保存方法も重要です。正しく保存することで、鮮度を保ち、食中毒リスクも減らすことができます。
卵は購入後、冷蔵庫で保存するのが基本です。室温で保存すると、1日で1週間分劣化するとも言われています。日本の食品衛生法では、生食用の卵は必ず10℃以下で保存するよう定められています。
保存方法 | 保存期間の目安 | 注意点 |
---|---|---|
冷蔵庫(パック入りのまま) | 賞味期限内(約2週間) | 卵の尖った方を下にして保存すると黄身が中央に留まる |
冷蔵庫の卵専用スペース | 賞味期限内 | ドアポケットは温度変化が大きいため避ける |
割った卵(生) | 1〜2日以内 | 密閉容器に入れて保存 |
ゆで卵 | 冷蔵で3〜4日 | 殻つきのまま保存するとよい |
また、卵の鮮度を簡単に確認する方法として「水に浮かべるテスト」があります。新鮮な卵は水の中で沈み、古くなると浮いてきます。これは卵の内部に空気が入り込むためで、浮く卵は古い証拠です。
農林水産省の卵の保存ガイドラインによると、生で食べる場合は特に鮮度に注意し、加熱調理する場合でも賞味期限を守ることが推奨されています。
卵料理の保存についても知っておくと便利です:
- 卵焼きなどの調理済み卵料理は、冷蔵で2〜3日以内に食べきるのが安全
- お弁当に入れる卵料理は、十分に加熱し、冷ましてから詰める
- 余った卵料理は冷凍保存も可能(ゆで卵の白身は冷凍には向かない)
適切に保存された卵は、いつでも栄養たっぷりの料理を手軽に作れる強い味方になります。毎日の食事に、様々な形で卵を取り入れてみてはいかがでしょうか。
4. 様々な卵料理レシピ

卵は多彩な料理に変身する万能食材です。朝食から夕食まで、様々なシーンで活躍する卵料理のレシピをご紹介します。栄養バランスに優れた卵を使って、家族の健康をサポートしましょう。
4.1 朝食にぴったりな卵料理
忙しい朝でも手早く作れて栄養満点な卵料理は、一日の始まりにぴったりです。
「ふわとろオムレツ」は、朝の定番メニュー。卵2個を軽く溶きほぐし、少量の牛乳と塩コショウを加えるだけで基本の生地が完成します。中に細かく刻んだハムやチーズ、野菜を入れることで栄養価がアップします。
フライパンに油を熱し、卵液を流し入れたら、菜箸で優しくかき混ぜながら半熟状態でくるっと折りたたみましょう。朝からタンパク質と野菜をバランスよく摂取できます。
時間がない朝には「レンジでチン!簡単茶碗蒸し風卵料理」がおすすめです。耐熱容器に卵1個と同量の水または出汁を入れ、軽く混ぜて電子レンジで1分ほど加熱するだけ。ふわっとした食感で胃にも優しい一品です。
朝食卵料理 | 調理時間 | 特徴 |
---|---|---|
ふわとろオムレツ | 約5分 | ふわふわの食感で野菜も一緒に摂取 |
茶碗蒸し風卵料理 | 約2分 | 電子レンジで簡単、消化にも良い |
アボカドエッグトースト | 約7分 | 良質な脂質と卵のタンパク質を同時に摂取 |
また、「アボカドエッグトースト」は海外でも人気の朝食メニュー。トーストの上につぶしたアボカドを塗り、その上にポーチドエッグをのせれば完成です。アボカドの良質な脂質と卵のタンパク質がセットになった栄養価の高い朝食になります。
忙しい朝でも栄養をしっかり摂るなら、前日にミニオムレツを作り置きしておくのも効率的です。冷蔵保存して翌朝にレンジで温めれば、手間なく栄養満点の朝食が完成します。
4.2 お弁当に最適な卵料理
お弁当には彩りも良く、冷めてもおいしい卵料理が大活躍します。定番から少し変わった卵料理まで、お弁当が楽しくなるレシピをご紹介します。
「基本の卵焼き」はお弁当の定番中の定番。卵に砂糖、塩、醤油を加えて味付けし、卵焼き器で薄く焼いては巻き、また卵液を流すという工程を繰り返して作ります。お弁当の彩りにもなる黄色い卵焼きは、子どもからお年寄りまで幅広い世代に愛される一品です。
味のバリエーションとして、めんつゆで味付けした和風卵焼き、チーズを加えたり、青のりを混ぜたりするアレンジも楽しめます。
また、「ゆで卵の醤油漬け」は作り置きができる便利なおかず。ゆで卵の殻をむいて醤油ベースの調味液(醤油、みりん、砂糖など)に一晩漬けるだけ。半分に切って弁当に入れれば、見た目も食べ応えもアップします。
子どもに人気の「ミニハンバーグの卵包み」は、小さく作ったハンバーグを薄焼き卵で包んだ一品。タンパク質が豊富で栄養満点です。卵の黄色とケチャップの赤が食欲をそそります。
お弁当向け卵料理 | 保存可能日数 | 彩りのポイント |
---|---|---|
基本の卵焼き | 冷蔵で2日 | 黄色の彩りでお弁当が明るく |
ゆで卵の醤油漬け | 冷蔵で3〜4日 | 断面の黄身と白身のコントラスト |
ミニハンバーグの卵包み | 冷蔵で2日 | ケチャップと合わせると食欲増進 |
お弁当の隙間埋めには「うずらの卵のピクルス」もおすすめです。うずらの卵をゆでて殻をむき、酢、砂糖、塩、香辛料で作ったピクルス液に漬け込むだけ。酸味があるので暑い季節のお弁当にも安心です。
彩り豊かなお弁当作りには、カラフル野菜入り卵焼きなど、野菜と卵を組み合わせたレシピもおすすめです。栄養バランスも良くなります。
4.3 夕食にもう一品、卵料理
「今日の夕食、もう一品欲しいな…」というときに頼りになるのが卵料理です。短時間で作れて栄養価も高く、家族に喜ばれる卵料理をご紹介します。
「ふわふわ卵とじ」は、季節の野菜と卵を合わせた優しい味わいの一品。玉ねぎ、にんじん、しいたけなどの野菜を炒め、めんつゆで味付けし、溶き卵を回し入れて軽く混ぜるだけ。とろとろの卵が野菜にからみ、食べやすい一品になります。
高齢者にもやさしい食感で、消化も良く、野菜と卵のタンパク質をバランス良く摂取できます。
子供から大人まで人気の「卵と豆腐のふわふわグラタン」は、豆腐を加えることでカロリーを抑えながらもボリューム感のある一品に。豆腐をつぶして溶き卵と混ぜ、具材と合わせてオーブンで焼くだけ。チーズをトッピングすれば子どもも喜ぶ見た目に。
和風の味付けなら、「卵の親子煮」がおすすめ。鶏肉と卵を一緒に煮込むことから「親子」という名前がついたこの料理は、日本の家庭料理の定番です。鶏肉のうま味と卵のまろやかさが絶妙なハーモニーを奏でます。
夕食向け卵料理 | 調理時間 | おすすめポイント |
---|---|---|
ふわふわ卵とじ | 約15分 | 季節の野菜と合わせて栄養バランス◎ |
卵と豆腐のふわふわグラタン | 約25分 | 豆腐でカロリーオフ、食物繊維も摂取 |
卵の親子煮 | 約20分 | 日本の家庭料理の定番、ほっとする味 |
もう少しエスニックな味わいを楽しみたい日には、「トマトと卵の中華炒め」はいかがでしょうか。トマトの酸味と卵のまろやかさが絶妙に調和し、ご飯が進む一品です。トマトに含まれるリコピンは加熱することで吸収率が上がるため、栄養面でも優れています。
また、スペイン風オムレツ「トルティージャ」も、じゃがいもと卵を主材料にした食べ応えのある一品。冷蔵庫にある野菜を加えてアレンジすれば、栄養バランスも良くなります。
卵は料理の幅を広げてくれる素晴らしい食材です。朝食、お弁当、夕食と、一日の様々なシーンで卵料理を取り入れることで、効率よく栄養を摂取できます。ぜひお気に入りの卵料理を見つけて、毎日の食事に取り入れてみてください。
5. 卵を選ぶポイント

スーパーマーケットや食料品店に行くと、様々な種類の卵が並んでいます。価格も安いものから高いものまで幅広く、どれを選べばよいのか迷うことも多いのではないでしょうか。ここでは、卵を選ぶ際のポイントや新鮮な卵の見分け方についてご紹介します。
5.1 新鮮な卵の見分け方
卵の栄養を最大限に活かすには、新鮮なものを選ぶことが大切です。スーパーで卵を購入する際、どのように新鮮さを見分ければよいのでしょうか?
5.1.1 賞味期限をチェック
最も基本的なポイントは、パッケージに記載されている賞味期限です。できるだけ賞味期限が長いものを選びましょう。一般的に、卵の賞味期限は産卵日から約2週間程度と設定されています。
日本の卵は世界でもトップクラスの安全基準で管理されており、賞味期限内であれば安心して食べられます。ただし、購入後はなるべく早く消費するのがおすすめです。
5.1.2 殻の状態を確認
新鮮な卵は、殻に艶があり、ヒビや汚れがありません。パッケージ越しでも確認できるので、購入前にチェックしてみましょう。
5.1.3 家庭での新鮮さチェック方法
家に帰ってから新鮮さを確認する方法もあります:
- 水中テスト:卵を水の入ったボウルに入れ、沈むものは新鮮、浮くものは鮮度が落ちています。新鮮な卵は気室が小さいため沈みます。
- 割ってみる:新鮮な卵は黄身が盛り上がっていて、白身がしっかりと黄身を包んでいます。
- 揺らしてみる:卵を軽く振って、中で大きく動く感じがしないものが新鮮です。
もし家で卵を割った際に、異臭がする場合や、黄身と白身の区別がつかないほど混ざっている場合は、食べずに処分しましょう。
5.2 種類豊富な卵、どれを選べばいい?
近年、スーパーの卵売り場には様々な種類の卵が並んでいます。それぞれの特徴を理解して、用途に合わせた卵選びをしましょう。
5.2.1 飼育方法による分類
飼育方法 | 特徴 | おすすめの用途 |
---|---|---|
ケージ飼い(一般的な卵) | 効率的な生産方法で価格が安い | 料理全般、特に加熱調理 |
平飼い | 鶏がある程度自由に動ける環境で育つ | 卵かけご飯など生食にも |
放し飼い(フリーレンジ) | 鶏が屋外でも活動できる環境で育つ | 生食、こだわりの料理に |
有機飼育 | 有機飼料で育てられた鶏の卵 | 生食、特別な料理に |
日本の一般家庭で最もよく使われているのはケージ飼いの卵です。日本食品分析センターの報告によると、飼育方法による栄養価の大きな差はないとされていますが、鶏のストレスや飼料によって風味に違いが出ることがあります。
5.2.2 色による分類
卵の色による主な分類は以下の通りです:
- 白色卵:白色レグホン種という鶏の卵で、クセのない味わい
- 赤色卵(茶色卵):ロードアイランドレッド種などの卵で、少しコクがある
- ピンク卵:特定の品種の鶏から生まれる卵
卵の色の違いは鶏の品種によるもので、栄養価に大きな差はありません。色の好みや料理の見栄えで選んでも問題ありません。
5.2.3 特殊な卵の種類
最近では、飼料や飼育方法を工夫した特殊な卵も多く販売されています:
- 赤玉:赤い殻の卵で、昔ながらの卵の味わいが特徴
- たまご庵(あん):黄身の色が濃く、コクがある卵
- 温泉たまご風味:黄身がとろりとしている卵
- 海藻入り飼料で育てた卵:DHA・EPAが豊富
- セレン強化卵:抗酸化作用のあるセレンを強化
特殊な卵は一般的な卵より価格が高めですが、特定の栄養素を強化したい場合や、こだわりの料理に使いたい場合におすすめです。例えば、農林水産省の情報によると、DHAを強化した卵は、通常の卵の2〜3倍のDHAを含むことがあります。
5.2.4 サイズによる選び方
卵のサイズ規格は以下のように分かれています:
サイズ | 重量 | おすすめの用途 |
---|---|---|
SS | 40g未満 | うずらの卵の代わりに |
S | 40g以上52g未満 | お弁当のゆで卵に |
MS | 52g以上58g未満 | 一般的な料理全般 |
M | 58g以上64g未満 | 一般的な料理全般(最も一般的) |
L | 64g以上70g未満 | 卵かけご飯、目玉焼きなど |
LL | 70g以上 | 茶碗蒸し、プリンなど |
料理のレシピで「卵1個」と指定されている場合は、一般的にMサイズを使用することが多いです。お菓子作りなど分量が重要な料理では、卵のサイズに注意しましょう。
5.2.5 価格と品質のバランス
卵の価格は品質や特殊な栄養強化、飼育方法などによって大きく異なります。毎日の料理に使う卵と、特別な料理に使う卵を使い分けるのも一つの方法です。
例えば:
- 毎日の調理用(炒め物、ゆで卵など)→ コストパフォーマンスの良い一般的な卵
- 卵かけご飯や半熟卵など生食に近い料理 → 鮮度の高い特選卵
- お菓子作りなど分量が重要な料理 → 一定サイズの卵
卵は完全栄養食と言われるほど栄養価が高く、どのタイプを選んでも基本的な栄養素はしっかり摂取できます。自分の食生活やこだわりに合わせて選ぶと良いでしょう。
5.2.6 生食用表示の確認
卵かけご飯など生で食べる場合は、必ずパッケージに「生食用」と表示されているものを選びましょう。日本では厚生労働省の基準に基づき、生食用として販売されている卵は、サルモネラ菌などの検査が厳しく行われています。
特に小さなお子さんやご高齢の方、妊婦さんは生卵の摂取に注意が必要です。安全のために十分加熱するか、生食用表示のある新鮮な卵を選びましょう。
6. まとめ
卵は「完全栄養食」と呼ばれるほど、多くの必須栄養素をバランスよく含んでいます。タンパク質、ビタミン、ミネラルなどが豊富で、特に必須アミノ酸がすべて含まれているのが大きな特徴です。しかし、実は完全栄養食としては食物繊維やビタミンCが不足しているため、他の食品と組み合わせて摂取するのがおすすめです。
健康面では、かつてコレステロールが気になるとされていましたが、最新の研究では健康な人であれば1日1〜2個の摂取は問題ないことがわかっています。むしろ良質なタンパク質源として筋肉維持や美肌効果が期待できます。また、調理法によっても栄養価が変わるため、ゆで卵や半熟卵など加熱しすぎない調理法がより栄養を逃さない方法といえるでしょう。
卵を選ぶ際は、賞味期限はもちろん、できれば産地や飼育方法にもこだわってみてください。最近では平飼い卵やオーガニック卵など、こだわりの卵も増えています。スーパーで購入する場合は、殻にひびが入っていないか、濁りがないかをチェックしましょう。
毎日の食卓に簡単に取り入れられる卵。朝食の卵かけご飯から、お弁当のたまご焼き、夕食の親子丼まで、様々な料理に活用できる万能食材です。ぜひ、この記事で紹介した栄養知識や調理法を参考に、ご家族の健康維持にお役立てください。手軽で経済的、そして栄養満点の卵を、毎日の食生活に上手に取り入れていきましょう。