卵アレルギーのリスク:アナフィラキシーの症状と即座に取るべき行動

卵アレルギーは、食物アレルギーの中でも特にアナフィラキシーショックを起こしやすい危険なアレルギーの一つです。アナフィラキシーは、じんましんやかゆみなどの皮膚症状から、呼吸困難や意識消失といった生命に関わる重篤な症状まで、短時間で全身にさまざまな症状が現れるアレルギー反応です。卵アレルギーを持つお子さんやご家族がいる方、あるいは自分自身が卵アレルギーで不安を抱えている方にとって、アナフィラキシーの症状を正しく理解し、迅速な対処法を身につけることは非常に重要です。この記事では、卵アレルギーとアナフィラキシーについて詳しく解説し、具体的な症状や、万が一アナフィラキシーを発症した場合の対処法、そして予防策について分かりやすく説明します。卵を完全に除去する必要があるのか、いつ病院を受診すべきなのか、エピペンはどのように使うのかなど、気になる疑問を解消し、安心して日常生活を送るための情報を提供します。この記事を読むことで、卵アレルギーとアナフィラキシーの危険性、具体的な症状、そして緊急時の対応を理解し、いざという時に適切な行動を取ることができるようになります。また、日常生活における予防策についても学ぶことで、アレルギー反応のリスクを最小限に抑え、安全に過ごせるようサポートします。特に、小さなお子さんを持つお母さんやお父さん、おじいちゃんおばあちゃん世代の方々にとって、アレルギーに関する知識は、家族の健康を守る上で欠かせないものと言えるでしょう。ぜひ、この記事を参考に、卵アレルギーとアナフィラキシーへの理解を深めてください。

目次

1. 卵アレルギーとは

卵アレルギーは、鶏卵を摂取することで免疫システムが過剰に反応し、様々な症状を引き起こす食物アレルギーの一種です。鶏卵は、卵白と卵黄の両方、あるいはどちらか一方にアレルギー反応を示すことがあります。完全除去が必要となることが多い食物アレルギーであり、乳幼児期に発症する食物アレルギーの中では最も頻度の高いものの一つです。成長とともに耐性が獲得されることもありますが、必ずしも治るわけではなく、成人まで症状が続く場合もあります。特に、卵白に含まれるオボムコイドというタンパク質は加熱しても変性しにくいため、アレルギー反応を起こしやすいことが知られています。

1.1 卵アレルギーのメカニズム

食物アレルギーは、本来無害な食物に対して体が過剰に反応してしまうことで起こります。初めて卵を食べた際には、体内でIgE抗体という物質が作られます。次に卵を摂取した際に、このIgE抗体が卵のタンパク質と結合し、肥満細胞という細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出されます。これらの化学物質が、かゆみ、じんましんなどのアレルギー症状を引き起こします。卵アレルギーの場合、この反応は卵を摂取した直後から数時間以内に現れることが一般的です。

1.2 卵アレルギーの有病率

食物アレルギー全体の有病率は増加傾向にあり、乳幼児では約10%、学童期では約5%と推定されています。その中でも卵アレルギーは、乳幼児期に発症する食物アレルギーの中で最も多く、2~3%の乳幼児が卵アレルギーを持っているとされています。多くの子供は成長と共に卵アレルギーを克服しますが、一部の人は生涯にわたって卵を摂取することができません。 アレルギーの克服には個人差があり、克服する年齢も様々です。また、重症のアレルギー反応を起こしたことがある人は、アレルギーが治りにくい傾向があります。具体的な有病率や克服に関する情報は、日本食物アレルギー学会のウェブサイトなどで確認できます。

2. アナフィラキシーとは

アナフィラキシーは、アレルギー反応の中でも特に重篤な症状で、生命に関わる危険性があります。食物アレルギー以外にも、薬物や蜂毒などが原因となることがあります。

2.1 アナフィラキシーの定義

アナフィラキシーは、アレルゲンへの曝露後、急速に進行する全身性の重度なアレルギー反応と定義されています。皮膚、呼吸器、消化器、循環器など複数の臓器に症状が現れることが特徴です。短時間で症状が進行し、血圧の低下や意識障害などを引き起こすため、迅速な対応が必要です。

2.2 アナフィラキシーの危険性

アナフィラキシーは放置すると、呼吸困難や血圧低下によるショック状態に陥り、死に至る可能性があります。症状が現れたらすぐに医療機関を受診することが重要です。特に、呼吸困難や意識障害がある場合は、ためらわずに救急車を呼びましょう。

3. 卵アレルギーによるアナフィラキシーの症状

卵アレルギーによるアナフィラキシーの症状は、皮膚、呼吸器、消化器、循環器など様々な臓器に現れます。これらの症状は単独で現れることもあれば、複数同時に現れることもあります。

3.1 皮膚の症状


  • 3.1.1 じんましん


    皮膚に赤みを伴う膨疹が現れます。かゆみを伴うことが多く、全身に広がることもあります。



  • 3.1.2 かゆみ


    皮膚の痒みは、じんましんに伴って現れることが多いです。特定の部位だけでなく、全身に広がることもあります。



  • 3.1.3 赤み


    皮膚が赤くなる症状で、じんましんや炎症によって引き起こされます。



  • 3.1.4 腫れ


    顔、唇、まぶたなどが腫れることがあります。特に、喉の腫れは呼吸困難につながるため注意が必要です。


3.2 呼吸器の症状


  • 3.2.1 くしゃみ


    アレルギー反応によって鼻粘膜が刺激され、くしゃみが連発することがあります。



  • 3.2.2 鼻水


    アレルギー反応によって鼻粘膜から分泌液が増え、鼻水が出ます。



  • 3.2.3 咳


    気道が刺激されることで咳が出ます。アレルギー反応が重症化すると、咳が止まらなくなることもあります。



  • 3.2.4 喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)


    気道が狭くなることで、呼吸時にぜーぜー、ひゅーひゅーという音が聞こえます。呼吸困難のサインであるため、注意が必要です。



  • 3.2.5 呼吸困難


    喉の腫れや気道の狭窄によって、呼吸が苦しくなります。生命に関わる危険性があるため、緊急の対応が必要です。


3.3 消化器の症状


  • 3.3.1 腹痛


    アレルギー反応によって消化管が刺激され、腹痛が起こります。



  • 3.3.2 嘔吐


    吐き気や嘔吐は、アレルギー反応による消化管の不調によって引き起こされます。



  • 3.3.3 下痢


    アレルギー反応によって腸の蠕動運動が亢進し、下痢が起こります。


3.4 循環器の症状


  • 3.4.1 めまい


    血圧低下や脳への血流不足によって、めまいが起こることがあります。



  • 3.4.2 立ちくらみ


    急激な血圧低下によって、立ちくらみが起こることがあります。



  • 3.4.3 意識消失


    重度のアナフィラキシーショックによって、意識を失うことがあります。



  • 3.4.4 血圧低下


    アナフィラキシーショックの主要な症状の一つです。血圧が急激に低下することで、臓器への血流が不足し、生命に関わる危険性があります。


3.5 その他の症状


  • 3.5.1 不安感


    アレルギー反応による身体の不調や呼吸困難によって、不安感や恐怖感を覚えることがあります。



  • 3.5.2 動悸


    心臓がドキドキと速く鼓動する症状です。アレルギー反応によるストレスや血圧低下などが原因で起こることがあります。


4. 卵アレルギーが疑われる場合の対処法

卵を食べて、皮膚や呼吸器、消化器などに異常を感じた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。自己判断で対処しようとせず、専門医の診断を受けることが重要です。アレルギー専門医のいる医療機関を受診するのが望ましいです。受診前に、食べたもの、症状、発症までの時間などをメモしておくと、医師の診断に役立ちます。また、以前にアレルギー検査を受けたことがある場合は、その結果も持参しましょう。医療機関では、問診、診察、血液検査、皮膚プリックテストなどを行い、アレルギーの有無や原因を特定します。 卵アレルギーと診断された場合は、医師の指示に従って除去食などの対策を行いましょう。除去食は、原因となる食品を完全に除去する食事療法です。誤って摂取しないように、食品表示をよく確認する習慣を身につけましょう。

5. アナフィラキシー発症時の即座に取るべき行動

アナフィラキシーは、迅速な対応が求められる重篤なアレルギー反応です。以下の手順に従って行動しましょう。

5.1 アドレナリン自己注射薬(エピペン)の使用

アナフィラキシーの症状が出た場合は、直ちにアドレナリン自己注射薬(エピペン)を使用します。エピペンは、太ももに注射することで、アナフィラキシーの症状を緩和する効果があります。使用方法は医師から指導を受けてください。エピペンは処方箋が必要な薬剤です。医師の診察を受けて、適切な使用方法を学びましょう。エピペンを処方されている場合は、常に携帯するようにしてください

5.2 救急車の手配(119番通報)

エピペンを使用した後、またはエピペンを持っていない場合は、すぐに救急車を要請します(119番通報)。救急隊員には、「アナフィラキシーショック」であること、原因となるアレルゲン(例:卵)、エピペンの使用の有無などを伝えましょう。救急車が到着するまで、患者を安全な場所に移動させ、安静を保ちます。仰向けに寝かせ、足を高くすると、血圧の低下を防ぐのに効果的です。呼吸が苦しい場合は、上体を起こして楽な姿勢をとらせます。

5.3 医療機関への受診

救急隊員による応急処置の後、医療機関に搬送されます。アナフィラキシーショックは、症状が一時的に改善しても再発する可能性があるため、必ず医療機関を受診してください。医療機関では、症状に応じた治療が行われます。アナフィラキシーショックの原因となったアレルゲンを特定するための検査が行われることもあります。

6. アナフィラキシーの予防

アナフィラキシーを予防するためには、原因となるアレルゲンを特定し、曝露を避けることが重要です。

6.1 原因食物の除去

食物アレルギーが原因の場合は、原因となる食物を特定し、厳密に除去する必要があります。食品表示をよく確認し、加工食品に含まれるアレルゲンにも注意しましょう。外食の際は、店員にアレルギーについて伝え、アレルゲンが含まれていない料理を注文しましょう。アレルギー対応のレストランを利用することも有効な手段です

6.2 食物経口負荷試験

食物アレルギーの治療法の一つとして、食物経口負荷試験があります。これは、少量のアレルゲンを摂取し、症状の有無や程度を確認する検査です。医師の監督下で行われるため、安全にアレルギーの耐性を評価することができます。食物経口負荷試験の結果に基づいて、食べられる量を徐々に増やしていくことで、アレルギーを克服できる可能性があります。ただし、食物経口負荷試験は、アナフィラキシーショックなどの重篤なアレルギー反応が起こるリスクもあるため、専門医のいる医療機関で実施する必要があります

6.3 エピペンの携帯

アナフィラキシーショックの既往がある場合は、医師から処方されたエピペンを常に携帯しましょう。エピペンは、アナフィラキシーショックの初期症状が現れた際に、すぐに使用することで重症化を防ぐことができます。家族や周囲の人にもエピペンの使用方法を教え、緊急時に対応できるようにしておくことが重要です。また、エピペンの使用期限を確認し、期限が切れた場合は新しいものと交換しましょう。

卵アレルギーは、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性のある危険なアレルギーです。日頃から正しい知識を持ち、適切な予防と対策を行うことが重要です。この記事で紹介した情報は、厚生労働省の食物アレルギーに関するページを参考にしています。より詳しい情報については、専門の医療機関にご相談ください。

7. アナフィラキシーとは

アナフィラキシーは、特定のアレルゲン(原因物質)に暴露された後に起こる全身性の重度のアレルギー反応です。じんましんなど皮膚症状の他、呼吸困難や血圧低下など、複数の臓器に症状が現れるのが特徴です。生命を脅かす危険な状態になる可能性があり、迅速な対応が必要です。

7.1 アナフィラキシーの定義

アナフィラキシーは、アレルギー反応の中で最も重篤な症状です。日本アレルギー学会では、アナフィラキシーを以下のように定義しています。

  1. 原因物質への曝露後、数分~数時間以内に発症する
  2. 皮膚症状や粘膜症状に加えて、呼吸器症状、消化器症状、循環器症状のうち少なくとも1つ以上の症状が出現する
  3. 血圧の低下や意識障害など、生命に危険が及ぶような症状が出現する

これらの基準に加えて、原因物質への曝露後、数分~数時間以内に血圧低下のみが出現した場合もアナフィラキシーと診断されます。

アナフィラキシー診療ガイドライン2021|一般社団法人 日本アレルギー学会

7.2 アナフィラキシーの危険性

アナフィラキシーは、放置すると命に関わる危険な状態です。特に、呼吸困難や血圧低下が急速に進行すると、ショック状態に陥り、死に至ることもあります。迅速な対処と医療機関への搬送が不可欠です。

アナフィラキシーの重症度は、症状の出現速度、症状の種類や程度、過去のアナフィラキシーの既往歴などによって異なります。軽症の場合でも、適切な治療を行わないと重症化することがあります。

重症度症状
軽症皮膚のかゆみ、じんましん、くしゃみ、鼻水など
中等症呼吸困難、喘鳴(ぜいぜい)、嘔吐、腹痛、めまいなど
重症意識消失、血圧低下、ショック状態など

アナフィラキシーの原因となるアレルゲンは様々ですが、食物アレルギーの中でも、卵、牛乳、小麦、そば、落花生などは特にアナフィラキシーを起こしやすい食品として知られています。また、ハチ毒や薬剤などもアナフィラキシーの原因となることがあります。

アナフィラキシーってなぁに?|環境省

8. 卵アレルギーによるアナフィラキシーの症状

卵アレルギーによるアナフィラキシーは、摂取後数分から数十分以内に複数の臓器に症状が現れる重篤なアレルギー反応です。症状は皮膚、呼吸器、消化器、循環器など多岐にわたり、迅速な対応が必要です。以下に、主な症状をまとめました。

8.1 皮膚の症状

皮膚症状はアナフィラキシーの初期症状としてよく見られます。主な症状は以下の通りです。

症状説明
じんましん皮膚に蚊に刺されたような膨疹が現れ、強いかゆみを伴います。全身に広がることもあります。
かゆみじんましんだけでなく、皮膚全体にかゆみを感じることもあります。
赤み(紅斑)皮膚が赤くなります。かゆみを伴う場合もあります。
腫れ(浮腫)特にまぶたや唇が腫れることがあります。喉頭が腫れると呼吸困難につながるため、非常に危険です。

8.2 呼吸器の症状

呼吸器症状はアナフィラキシーにおいて生命に関わる危険な症状です。以下のような症状が現れたら、すぐに救急車を呼びましょう。

症状説明
くしゃみ連発するくしゃみが出ることがあります。
鼻水水のような鼻水が出ます。
止まらない咳が出ることがあります。
喘鳴(ぜんめい)ゼーゼー、ヒューヒューという音が呼吸時に聞こえます。気道が狭くなっている証拠です。
呼吸困難息苦しさを感じ、呼吸がしづらくなります。

8.3 消化器の症状

消化器症状もアナフィラキシーでよく見られる症状です。以下の症状が現れることがあります。

症状説明
腹痛急激な腹痛が起こります。
嘔吐吐き気を伴い、嘔吐します。
下痢水のような下痢が起こります。

8.4 循環器の症状

循環器症状はアナフィラキシーショックの徴候であることが多く、非常に危険です。迅速な対応が不可欠です。

症状説明
めまい強いめまいを感じます。
立ちくらみ急に立ち上がった際に、目の前が暗くなり、倒れそうになります。
意識消失意識を失い、倒れます。
血圧低下血圧が急激に低下します。ショック状態に陥る危険性があります。

8.5 その他の症状

上記以外にも、以下のような症状が現れることがあります。

症状説明
不安感強い不安感に襲われます。
動悸心臓がドキドキと激しく鼓動します。

これらの症状は単独で現れることもあれば、複数同時に現れることもあります。また、症状の重さには個人差があり、軽度のものから生命に関わる重度のものまで様々です。卵アレルギーを持つ方は、アナフィラキシーの症状についてよく理解し、少しでも異常を感じたらすぐに医療機関を受診することが重要です。詳しくはアナフィラキシーネットワークのウェブサイトをご覧ください。

9. 卵アレルギーが疑われる場合の対処法

卵を食べて、皮膚にかゆみ、じんましん、赤み、腫れが出たり、くしゃみ、鼻水、咳、呼吸困難などの呼吸器症状、腹痛、嘔吐、下痢といった消化器症状、めまい、意識消失などが出た場合は、卵アレルギーの可能性があります。特に、これらの症状が複数同時に現れた場合は、アナフィラキシーを起こしている可能性も考えられます。決して自己判断せず、速やかに医療機関を受診しましょう。

医療機関を受診する際は、以下の情報を整理しておくとスムーズです。

  • 症状が現れた日時
  • 食べたもの(卵が含まれる食品も含む)
  • 症状の種類と程度
  • 症状が現れてからどのくらい経過したか
  • これまでにアレルギーと診断されたことがあるか
  • 現在服用中の薬

9.1 医療機関の選び方

卵アレルギーの診断と治療は、アレルギー科のある医療機関で行います。かかりつけ医がいる場合は、まずかかりつけ医に相談し、適切な医療機関を紹介してもらうと良いでしょう。近くにアレルギー科がない場合は、小児科や内科でも初期対応が可能です。

アナフィラキシーの既往がある、またはアナフィラキシーを起こす可能性が高い場合は、アレルギー専門医のいる医療機関を受診することが推奨されます。 アレルギー専門医は、日本アレルギー学会のウェブサイトで検索できます。

日本アレルギー学会

9.2 アレルギー検査の種類

医師は、問診や症状、身体所見に基づいてアレルギー検査を行います。卵アレルギーの検査には、主に以下の方法があります。

検査方法内容メリットデメリット
皮膚プリックテストアレルゲンを皮膚に少量つけて反応を見る簡便で迅速な結果が得られる痛みやかゆみがある
血液検査(特異的IgE抗体検査)血液中の卵に対する特異的IgE抗体の量を測定する客観的なデータが得られる結果が出るまでに時間がかかる
食物経口負荷試験医師の監督下で原因食物を少量ずつ摂取し、症状の有無を確認するアレルギーの有無を確定できるアナフィラキシーのリスクがある

これらの検査結果と問診、症状などを総合的に判断して、卵アレルギーの診断が下されます。

9.3 日常生活における注意点

卵アレルギーが疑われる場合は、自己判断で卵を含む食品を摂取するのは危険です。 必ず医師の指示に従い、適切な検査と診断を受けてください。また、家族や周囲の人にもアレルギーの可能性を伝え、理解と協力を得ることが大切です。

特に加工食品には、卵が様々な形で含まれていることがあります。食品表示を必ず確認し、卵を含む食品は避けるようにしましょう。 卵の代替食品を利用することも有効です。

外食の際は、お店に卵アレルギーであることを伝え、使用食材を確認しましょう。 アレルギー対応のレストランを選ぶのも一つの方法です。

10. アナフィラキシー発症時の即座に取るべき行動

アナフィラキシーは生命に関わる危険なアレルギー反応です。症状が現れたら迅速な対応が不可欠です。落ち着いて行動し、下記の手順を踏んでください。

10.1 アドレナリン自己注射薬(エピペン)の使用

アナフィラキシーの第一選択薬はアドレナリンです。処方されている場合は、ためらわずに直ちにエピペンを使用しましょう。エピペンは太ももの外側に注射します。使用方法については、医師または薬剤師から十分な説明を受けてください。

エピペンを注射した後でも、必ず救急車を呼びましょう。 アドレナリンの効果は一時的なものであり、症状が再発する可能性があります。医療機関での適切な処置が必要です。

エピペンの使用方法についてはこちらをご覧ください:エピペンの使い方|エピペン

10.2 救急車の手配(119番通報)

エピペンを使用したら、すぐに119番通報し、救急車を要請しましょう。救急隊員には、アナフィラキシーを発症したこと、原因と思われるアレルゲン(卵など)、エピペンを使用したことなどを伝えましょう。

救急車を待つ間は、安全な場所に移動し、安静を保つようにしてください。可能であれば、仰向けに寝かせ、足を高く上げると血圧の低下を防ぐのに役立ちます。ただし、呼吸が苦しい場合は、楽な姿勢をとらせてください。

10.3 医療機関への受診

救急車で搬送された後は、医療機関で適切な処置を受けます。アナフィラキシーの症状が治まった後も、経過観察のためにしばらく入院が必要となる場合があります。

アナフィラキシーの既往がある方は、アレルギー専門医の診察を受け、今後の対策について相談しましょう。原因アレルゲンの特定や、アナフィラキシーの再発予防策について指導を受けることができます。

アナフィラキシーの緊急時の対応について、症状別にまとめた表を以下に示します。

症状対応
皮膚症状(じんましん、かゆみ、赤み、腫れなど)患部を冷やす、衣服を緩める
呼吸器症状(くしゃみ、鼻水、咳、喘鳴、呼吸困難など)上体を起こして楽な姿勢を保つ、酸素吸入(医療機関で行う)
消化器症状(腹痛、嘔吐、下痢など)吐瀉物による窒息に注意、水分補給(医療機関の指示に従う)
循環器症状(めまい、立ちくらみ、意識消失、血圧低下など)仰向けに寝かせ、足を高く上げる、輸液(医療機関で行う)
その他(不安感、動悸など)落ち着いて行動する、周りの人に助けを求める

参考:アナフィラキシーってなあに?|アナフィラキシー情報サイト

11. アナフィラキシーの予防

アナフィラキシーの予防は、症状の発現を防ぐために非常に重要です。主な予防策は以下の3つです。

11.1 原因食物の除去

最も確実な予防法は、原因となる食物を完全に除去することです。卵アレルギーの場合、卵そのものだけでなく、卵を含む加工食品や、調理器具の交叉汚染にも注意が必要です。食品表示をしっかり確認し、外食の際も原材料を確認する習慣をつけましょう。微量でも反応を起こす可能性があるため、徹底的な除去が重要です。特に加工食品には、卵白リゾチーム、卵黄レシチン、卵白アルブミンなど、様々な形で卵由来の成分が添加されている可能性があります。思わぬところに卵が隠れている場合があるので、注意が必要です。

具体的な除去例としては、マヨネーズ、カステラ、プリン、天ぷら、茶碗蒸し、肉団子、ハンバーグ、麺類、パン、ケーキ、クッキーなど、様々な食品が挙げられます。また、ワクチンの中には卵成分を含むものもあるため、接種前に医師に相談することが大切です。さらに、意外なところでは、ペットフードや化粧品、医薬品、サプリメントなどにも卵成分が含まれていることがあるため、注意が必要です。

卵アレルギー対応レシピを活用するのも良いでしょう。卵の代わりに豆腐や豆乳、米粉などを用いることで、様々な料理を楽しむことができます。アレルギー対応の食品を扱う専門店や、オンラインショップも増えてきていますので、積極的に活用してみましょう。

除去食を行う際には、栄養バランスに偏りが生じないよう注意が必要です。特に成長期のお子さんを持つ親御さんは、代替食品をうまく活用し、必要な栄養素をしっかりと摂取できるように工夫することが大切です。

11.2 食物経口負荷試験

食物アレルギーの診断と治療方針決定のために、食物経口負荷試験が実施されることがあります。これは、少量の原因食物を摂取し、症状の有無や程度を確認する検査です。専門医の監督下で行われるため、安全に検査を受けることができます。この試験によって、アレルギーの原因食物が特定され、除去の必要性や程度が判断されます。また、成長に伴いアレルギーが治癒しているかを確認するためにも行われます。ただし、アナフィラキシーを起こすリスクがあるため、必ず医療機関で行う必要があります。

11.3 エピペンの携帯

アナフィラキシーの重篤な症状が出現した場合、アドレナリン自己注射薬(エピペン)の迅速な使用が救命につながります。医師の処方に従い、常にエピペンを携帯し、使用方法を正しく理解しておくことが重要です。また、家族や周囲の人にも使い方を周知しておき、緊急時に適切な対応ができるようにしましょう。エピペンは、アナフィラキシーの初期症状が出現した際に、太ももに注射することで、症状の進行を抑制する効果があります。使用後は速やかに医療機関を受診する必要があります。

項目内容
エピペンの保管方法常温で保管し、直射日光や高温多湿を避ける
エピペンの使用期限使用期限内に使用し、期限が切れたものは交換する
エピペンの使用上の注意注射後は速やかに医療機関を受診する

これらの予防策を理解し、実践することで、アナフィラキシーのリスクを軽減し、安全な生活を送ることができます。日頃からアレルギーについて学び、正しい知識を身につけることが大切です。

12. まとめ

卵アレルギーは、アナフィラキシーショックという重篤なアレルギー反応を引き起こす可能性があります。この記事では、卵アレルギーとアナフィラキシーについて詳しく解説しました。卵アレルギーは、卵に含まれる特定のタンパク質に対する免疫反応によって引き起こされます。じんましんやかゆみなどの皮膚症状、咳や呼吸困難などの呼吸器症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状、めまいや意識消失などの循環器症状など、様々な症状が現れます。これらの症状は、卵を摂取してから数分から数時間以内に発症することがあります。

アナフィラキシーは、複数の臓器に症状が現れる重篤なアレルギー反応です。放置すると生命に関わるため、迅速な対応が必要です。卵アレルギーが疑われる場合は、医療機関を受診し、適切な検査と診断を受けることが重要です。アナフィラキシーを発症した場合は、直ちにアドレナリン自己注射薬(エピペン)を使用し、救急車を要請しましょう。エピペンは、アナフィラキシーの症状を一時的に緩和する効果があり、救命につながる可能性を高めます。医療機関では、症状に応じて適切な治療が行われます。

アナフィラキシーの予防には、原因食物の除去が最も重要です。卵アレルギーの場合は、卵を含む食品を完全に除去する必要があります。加工食品の成分表示をよく確認し、意図せず卵を摂取しないように注意しましょう。また、食物経口負荷試験でアレルギーの程度を正確に把握することも有効です。医師の指導のもと、少量の卵を摂取し、アレルギー反応の有無を確認します。さらに、アナフィラキシーのリスクが高い方は、エピペンを常に携帯し、使用方法を熟知しておくことが大切です。万が一アナフィラキシーを発症した場合でも、迅速に対応できるよう備えておきましょう。

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