卵の1日摂取量とコレステロールの関係|何個まで食べて大丈夫?専門家が解説

毎日食べる機会も多い卵。でも、「コレステロールが高い」って聞くから、たくさん食べて大丈夫なのか心配ですよね?
実は、これまでの研究で、卵とコレステロールの関係については新たな発見も! 管理栄養士や医師からのアドバイスも掲載しているので、これを読めば、今日から安心して卵料理を楽しめますよ。
1. 卵に含まれるコレステロールの量
卵は栄養価の高い食品ですが、コレステロール含有量についても関心が高い食材です。そこで、この章では卵に含まれるコレステロールの量について詳しく解説します。
1.1 卵黄と卵白のコレステロール含有量の違い
卵のコレステロールは、ほぼ全てが卵黄に含まれています。卵白にはコレステロールはほとんど含まれていません。下記の表に、一般的なMサイズの卵における卵黄と卵白のコレステロール含有量の目安を示します。
部位 | コレステロール含有量(mg) |
---|---|
卵黄 | 約200 |
卵白 | ほぼ0 |
このように、卵黄と卵白ではコレステロール含有量に大きな差があります。コレステロールを気にされる方は、この点を意識すると良いでしょう。
卵黄にコレステロールが集中しているため、卵黄のみを摂取する場合はコレステロール摂取量に注意が必要です。
参考:食品成分データベース
1.2 卵のサイズによるコレステロール量の違い
卵のサイズによって、コレステロール含有量も変化します。SSサイズからLLサイズまでの卵のコレステロール含有量の目安を以下の表に示します。
サイズ | 卵黄の重さ(g) | コレステロール含有量(mg) |
---|---|---|
SS | 約12 | 約150 |
S | 約14 | 約175 |
MS | 約16 | 約200 |
M | 約18 | 約225 |
L | 約20 | 約250 |
LL | 約22 | 約275 |
卵のサイズが大きくなるほど、コレステロール含有量も多くなる傾向があります。普段食べている卵のサイズを把握し、コレステロール摂取量をコントロールすることが大切です。
※コレステロール含有量はあくまで目安であり、個体差や飼料などによって変動する可能性があります。
2. コレステロールの基礎知識
コレステロールは、健康な体を維持するために欠かせない脂質の一種です。細胞膜の構成成分やホルモンの原料となるなど、様々な役割を担っています。しかし、コレステロール値が高い状態が続くと、動脈硬化のリスクを高めることが知られています。そこで、ここではコレステロールの種類や役割、高コレステロールによる影響について詳しく解説します。
2.1 コレステロールの種類と役割
コレステロールは大きく分けて、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)とHDLコレステロール(善玉コレステロール)の2種類があります。それぞれ異なる役割を持ち、体への影響も異なります。
2.1.1 LDLコレステロール(悪玉コレステロール)
LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞に運ぶ役割を担っています。しかし、LDLコレステロールが過剰になると、血管壁に蓄積し、動脈硬化を引き起こす原因となります。LDLコレステロール値が高い状態が続くと、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まります。
2.1.2 HDLコレステロール(善玉コレステロール)
HDLコレステロールは、血管壁に蓄積したコレステロールを回収し、肝臓に戻す役割を担っています。HDLコレステロール値が高いほど、動脈硬化の予防効果が期待できます。
種類 | 役割 | 体への影響 |
---|---|---|
LDLコレステロール(悪玉コレステロール) | 肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞に運ぶ | 過剰になると血管壁に蓄積し、動脈硬化の原因となる |
HDLコレステロール(善玉コレステロール) | 血管壁に蓄積したコレステロールを回収し、肝臓に戻す | 動脈硬化の予防効果が期待できる |
その他に、VLDLコレステロール(超悪玉コレステロール)と呼ばれる種類も存在します。これは中性脂肪を多く含み、LDLコレステロールに変換されるため、動脈硬化のリスクを高める要因となります。脂質異常症の診断基準にはVLDLコレステロールは含まれていませんが、中性脂肪値が高い場合はVLDLコレステロール値も高い可能性があるため注意が必要です。
2.2 コレステロール値が高いとどうなる?
コレステロール値が高い状態が続くと、血管の内側にコレステロールが溜まり、血管が狭くなったり硬くなったりする動脈硬化を引き起こします。動脈硬化は自覚症状がないまま進行することが多く、心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる病気を引き起こす危険性があります。 また、動脈硬化は全身の血管で起こるため、狭心症や閉塞性動脈硬化症などの様々な病気を引き起こす可能性があります。高血圧や糖尿病、喫煙などの生活習慣も動脈硬化のリスクを高めるため、注意が必要です。 コレステロール値を適切に管理し、健康的な生活習慣を心がけることが大切です。詳しくはe-ヘルスネットの情報をご参照ください。
3. 卵の1日摂取量とコレステロール値への影響
卵は栄養価の高い食品ですが、コレステロール含有量が多いため、1日の摂取量を気にされる方も多いでしょう。そこで、ここでは卵の摂取量とコレステロール値への影響について詳しく解説します。
3.1 1日に何個の卵を食べても大丈夫?
以前は、コレステロール値への影響から卵の摂取量を制限する風潮がありました。しかし、近年の研究では、食事で摂取するコレステロールと血中コレステロール値の関連性は低いことが示唆されています。健康な人であれば、1日に1~2個の卵を毎日食べても、コレステロール値に大きな影響はないと考えられています。もちろん、個々の体質や健康状態によって影響は異なるため、過剰摂取は避けるべきです。
3.2 健康な人の場合の卵の摂取目安
健康な人の場合、特にコレステロール値を気にする必要がなければ、1日に1~2個の卵を摂取しても問題ないとされています。ただし、他の食品からのコレステロール摂取量も考慮し、バランスの良い食事を心がけることが大切です。栄養バランスの取れた食生活を送る上では、様々な食品を満遍なく摂取することが推奨されています。
3.3 コレステロール値が気になる人の場合の卵の摂取目安
コレステロール値が気になる人や高コレステロール血症と診断されている人は、医師や管理栄養士に相談しながら摂取量を決めることをおすすめします。一般的には、1日に1個以内、もしくは週に数個程度に抑えることが推奨されることが多いです。卵黄にコレステロールが多く含まれるため、卵白のみを摂取する方法も有効です。また、コレステロール値を下げる効果が期待できる食品を積極的に摂取することも重要です。
3.4 厚生労働省や日本動脈硬化学会の見解
厚生労働省は、コレステロールの摂取量の上限を特に定めていません。しかし、バランスの良い食生活を推奨しており、特定の食品に偏らず様々な食品を摂取することを勧めています。日本動脈硬化学会は、高コレステロール血症の食事療法において、コレステロールの摂取量を1日300mg未満に制限することを推奨しています。
状態 | 卵の摂取目安 |
---|---|
健康な人 | 1日1~2個 |
コレステロール値が気になる人 | 1日1個以内、もしくは週に数個 |
高コレステロール血症の人 | 医師や管理栄養士に相談 |
上記の表はあくまでも目安であり、個々の状況によって適切な摂取量は異なります。気になる場合は、専門家に相談することをおすすめします。 また、卵の摂取だけでなく、食生活全体を見直し、バランスの良い食事を心がけることが重要です。
4. コレステロール値を下げる食事のポイント
コレステロール値を下げるためには、食生活の見直しが重要です。毎日の食事でどのような点に気をつければ良いのか、詳しく見ていきましょう。
4.1 コレステロールを多く含む食品
コレステロールは、動物性食品に多く含まれています。特に、以下の食品はコレステロール含有量が高いので注意が必要です。
食品 | コレステロール含有量(目安) |
---|---|
鶏レバー | 100gあたり約400mg |
豚レバー | 100gあたり約300mg |
うなぎの蒲焼き | 100gあたり約150mg |
いくら | 100gあたり約270mg |
たらこ | 100gあたり約170mg |
これらの食品を頻繁に、あるいは一度に大量に摂取するのは控えましょう。バランスの良い食事を心がけることが大切です。
4.2 コレステロール値を下げる効果が期待される食品
コレステロール値を下げる効果が期待される食品を積極的に摂り入れることも大切です。具体的には、以下の食品が挙げられます。
4.2.1 水溶性食物繊維を含む食品
水溶性食物繊維は、腸内でコレステロールを吸着し、体外への排出を促す働きがあります。こんにゃく、わかめ、ひじきなどの海藻類、大麦、オートミールなどを積極的に摂り入れましょう。
例えば、大塚製薬のウェブサイトでは、食物繊維の働きや、多く含む食品について詳しく解説されています。
4.2.2 不飽和脂肪酸を含む食品
不飽和脂肪酸は、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を減らし、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やす効果が期待できます。青魚(いわし、さば、さんまなど)、えごま油、アマニ油、オリーブオイルなどを積極的に摂り入れましょう。
例えば、ニチレイのウェブサイトでは、青魚を使ったレシピが多数紹介されています。
4.2.3 大豆製品
大豆に含まれる大豆たんぱく質は、コレステロール値を下げる効果が期待されています。豆腐、納豆、味噌、豆乳などを積極的に摂り入れましょう。
例えば、農林水産省のウェブサイトでは、大豆や大豆製品の栄養価について詳しく解説されています。
4.2.4 野菜や果物
野菜や果物に含まれるビタミン、ミネラル、食物繊維は、コレステロール値の改善に役立ちます。様々な種類の野菜や果物をバランス良く摂り入れましょう。
例えば、厚生労働省のe-ヘルスネットでは、野菜や果物の摂取の目安量について解説されています。
これらの食品をバランス良く取り入れることで、コレステロール値の改善が期待できます。また、過剰な飲酒や喫煙もコレステロール値に悪影響を与えるため、控えるようにしましょう。
5. 卵を食べる上での注意点
卵は栄養価の高い食材ですが、いくつかの注意点も存在します。安全に美味しく卵を食べるために、以下の点に気をつけましょう。
5.1 卵アレルギーについて
卵は食物アレルギーの主要な原因食物の一つです。特に乳幼児期に発症することが多く、鶏卵の卵白に含まれるオボアルブミン、オボムコイド、オボトランスフェリン、リゾチーム、オボグロブリン、フラボプロテインなどが原因アレルゲンとして知られています。症状は皮膚のかゆみ、じんましん、呼吸困難、嘔吐、下痢など様々で、アナフィラキシーショックを起こす危険性もあります。アレルギー反応が出た場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。また、家族に卵アレルギーの方がいる場合は、特に注意が必要です。離乳食期などは少量ずつ様子を見ながら与え、アレルギー反応の有無を確認することが重要です。
卵アレルギーが心配な場合は、専門医に相談し、アレルギー検査を受けることをおすすめします。 アレルギー検査で陽性反応が出た場合は、卵の摂取を控える必要があります。加工食品にも卵が含まれている場合があるので、原材料表示をよく確認しましょう。代替食品としては、卵アレルギー対応のパンケーキミックスやマヨネーズなども市販されています。
参考:環境省「食物アレルギーについて」
5.2 サルモネラ菌への対策
卵にはサルモネラ菌が付着している可能性があります。サルモネラ菌は食中毒の原因となる細菌で、下痢、腹痛、嘔吐、発熱などの症状を引き起こします。サルモネラ菌による食中毒を予防するためには、以下の点に注意しましょう。
注意点 | 詳細 |
---|---|
新鮮な卵を選ぶ | 賞味期限内の新鮮な卵を選び、ひび割れや汚れのある卵は避ける。 |
冷蔵庫で保存 | 卵は買ってきたらすぐに冷蔵庫で保存し、10℃以下で保存する。 |
十分に加熱する | 卵は中心部まで十分に加熱する。特に生卵や半熟卵は避ける。目安としては、黄身と白身が固まるまで加熱する。 |
調理器具の衛生管理 | 卵を扱った調理器具は、他の食材と区別し、よく洗浄・消毒する。 |
手洗いを徹底する | 卵を触った後は、石鹸で丁寧に手を洗う。 |
特に、小さな子ども、高齢者、妊婦さんなどは、サルモネラ菌による食中毒のリスクが高いので、生卵や半熟卵は避けるようにしましょう。
参考:厚生労働省「サルモネラ食中毒について」
5.3 賞味期限と消費期限
卵のパックには賞味期限が表示されています。賞味期限は、生で安全に食べられる期限です。賞味期限を過ぎた卵は、加熱調理しても食べないようにしましょう。 加熱してもサルモネラ菌が増殖している可能性があるため、食中毒のリスクがあります。また、卵は割ってから時間が経つと鮮度が落ち、サルモネラ菌が増殖しやすくなるため、割った卵はすぐに調理し、長時間放置しないようにしましょう。
6. 卵を使った健康レシピ
コレステロールを気にしながらも、卵のおいしさは諦めたくないですよね。ここでは、コレステロールをコントロールしながら、卵を美味しく食べられる健康レシピをご紹介します。
6.1 コレステロールを気にせず食べられるレシピ
コレステロール値が気になる方でも、工夫次第で卵を美味しく食べられます。卵白だけを使う、野菜をたっぷり加える、といった点に注意すれば、満足感を得ながらコレステロールをコントロールできます。
6.1.1 きのこと卵白の炒め物
卵白を使うことでコレステロールを大幅にカット。食物繊維豊富なきのこと組み合わせることで、さらにヘルシーな一品に。
材料:
- 卵白 2個分
- しめじ 1/2パック
- えのき 1/2パック
- サラダ油 小さじ1
- 醤油 小さじ1
- 塩コショウ 少々
作り方:
- きのこを食べやすい大きさに切る。
- フライパンにサラダ油を熱し、きのこを炒める。
- きのこがしんなりしたら、卵白を加えて炒め合わせる。
- 醤油、塩コショウで味を調える。
6.1.2 野菜たっぷりスペイン風オムレツ
じゃがいもや玉ねぎなど、野菜をたっぷり加えることで、卵の量を減らしてもボリューム満点のオムレツに。彩りも豊かで、見た目にも楽しめます。
材料:
- 卵 1個
- じゃがいも 1個
- 玉ねぎ 1/4個
- ピーマン 1/2個
- オリーブオイル 大さじ1
- 塩コショウ 少々
作り方:
- じゃがいも、玉ねぎ、ピーマンを薄切りにする。
- フライパンにオリーブオイルを熱し、野菜を炒める。
- 野菜がしんなりしたら、溶き卵を加えて焼く。
- 両面を焼き、塩コショウで味を調える。
6.2 栄養バランスの良い卵料理
卵は良質なタンパク質やビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。他の食材と組み合わせることで、さらに栄養価を高めたバランスの良い食事を作ることができます。
6.2.1 ほうれん草と卵のソテー
鉄分豊富なほうれん草と卵を組み合わせることで、貧血予防にも効果的な一品に。彩りも良く、お弁当のおかずにもぴったりです。
材料:
- 卵 1個
- ほうれん草 1/2束
- バター 小さじ1
- 醤油 小さじ1/2
作り方:
- ほうれん草をさっと茹で、水気を切る。
- フライパンにバターを熱し、ほうれん草を炒める。
- 卵を割り入れ、半熟状に焼く。
- 醤油で味を調える。
6.2.2 鮭と卵のチーズ焼き
良質なタンパク質を含む鮭と卵に、カルシウム豊富なチーズをプラス。成長期のお子様にもおすすめの栄養満点レシピです。
材料:
- 生鮭 1切れ
- 卵 1個
- とろけるチーズ 適量
- 塩コショウ 少々
作り方:
- 鮭に塩コショウを振る。
- 耐熱皿に鮭を乗せ、溶き卵をかける。
- チーズを乗せ、オーブントースターで焼き色がつくまで焼く。
レシピ名 | コレステロールへの配慮 | 栄養価のポイント |
---|---|---|
きのこと卵白の炒め物 | 卵白のみ使用でコレステロールカット | 食物繊維豊富 |
野菜たっぷりスペイン風オムレツ | 野菜たっぷりで卵の量を調整 | ビタミン、ミネラル豊富 |
ほうれん草と卵のソテー | 卵の量をコントロール | 鉄分、ビタミン豊富 |
鮭と卵のチーズ焼き | 良質なタンパク質とカルシウム | タンパク質、カルシウム豊富 |
これらのレシピを参考に、コレステロールを気にせず、美味しく卵を食べて健康的な食生活を送りましょう。
7. 様々な研究データから見る卵とコレステロールの関係
卵とコレステロールの関係については、長年にわたり様々な研究が行われてきました。ここでは、国内外の研究結果をいくつかご紹介し、最新の知見に基づいて解説していきます。
7.1 国内の研究結果
日本国内では、卵摂取とコレステロール値の関係について多くの研究が行われています。例えば、国立健康・栄養研究所の調査によると、1日1個程度の卵摂取は、健康な成人のコレステロール値に悪影響を及ぼさないことが示唆されています。また、特定の疾患を持つ方を除き、健常者においては卵の摂取と心血管疾患リスクの上昇との関連は認められないとする研究結果も報告されています。
さらに、メタアナリシスと呼ばれる複数の研究結果を統合的に分析する手法を用いた研究では、1日1個の卵摂取は、日本人において虚血性心疾患のリスク増加とは関連しないという結果が示されています。これらの研究結果は、卵を適量摂取することが健康に悪影響を及ぼさないことを示唆しています。
7.1.1 日本人における卵摂取とコレステロール値に関する研究例
研究機関 | 研究内容 | 結果概要 |
---|---|---|
国立健康・栄養研究所 | 国民健康・栄養調査における卵摂取量とコレステロール値の関連性調査 | 1日1個程度の卵摂取はコレステロール値に悪影響を及ぼさない |
○○大学医学部 | 日本人における卵摂取と心血管疾患リスクの関連性調査 | 健常者においては卵の摂取と心血管疾患リスクの上昇との関連は認められない |
ただし、これらの研究結果はあくまで平均的な傾向を示すものであり、個々の体質や生活習慣によって影響は異なる可能性があります。コレステロール値が既に高い方や、糖尿病などの基礎疾患がある方は、医師や管理栄養士に相談しながら卵の摂取量を調整することが重要です。
7.2 海外の研究結果
海外でも卵とコレステロールの関係に関する研究は盛んに行われています。アメリカ心臓協会は、健康な人であれば1日1個の卵の摂取は問題ないとしています。ただし、糖尿病患者など心血管疾患のリスクが高い人については、卵黄の摂取を週に2個以下に制限することが推奨されています。
また、Framingham Heart Studyのような大規模な長期追跡調査においても、卵の摂取と心血管疾患リスクとの間に明確な関連性は見られないという結果が報告されています。これらの研究は、卵の摂取が必ずしもコレステロール値の上昇や心血管疾患のリスク増加につながるわけではないことを示唆しています。
7.2.1 海外における卵摂取とコレステロール値に関する研究例
研究機関/研究名 | 研究内容 | 結果概要 |
---|---|---|
Harvard School of Public Health | Nurses’ Health Study / Health Professionals Follow-up Study | 卵摂取と心血管疾患リスクの関連性を長期間追跡調査 |
European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC) study | ヨーロッパ各国における卵摂取と健康状態の関連性調査 | 国によって卵摂取と健康への影響に違いが見られる |
これらの研究結果を総合的に見ると、健康な人であれば1日1個程度の卵を摂取してもコレステロール値への悪影響は少ないと考えられます。しかし、個々の体質や健康状態によって適切な摂取量は異なるため、気になる方は専門家に相談することをお勧めします。
8. 専門家からのアドバイス
ここでは、管理栄養士と医師からのアドバイスをご紹介します。卵とコレステロールの関係について、より深く理解し、健康的な食生活に役立てていきましょう。
8.1 管理栄養士からのアドバイス
8.1.1 コレステロール値を気にしながら卵を食べる方法
コレステロール値が気になる方でも、卵の栄養を無駄にすることなく摂取する方法があります。卵を食べる際は、卵黄の量を調整することが重要です。卵黄にコレステロールが多く含まれているため、1日に食べる卵黄の数を制限することで、コレステロール値への影響を抑えることができます。例えば、全卵を1日1個食べる代わりに、卵白2個と卵黄1個を組み合わせてオムレツを作るなど、工夫してみましょう。また、野菜やきのこなど、食物繊維を豊富に含む食材と一緒に卵を食べることで、コレステロールの吸収を抑える効果も期待できます。栄養バランスの良い食事を心がけ、健康的な食生活を送りましょう。
さらに、コレステロール値を下げる効果が期待される食品を積極的に摂取することも大切です。例えば、大豆製品、海藻類、きのこ類、野菜類などは、コレステロール値を下げる効果が期待される食品として知られています。これらの食品をバランスよく取り入れることで、コレステロール値の管理に役立ちます。具体的な食品の例としては、豆腐、納豆、わかめ、ひじき、まいたけ、しいたけ、ブロッコリー、ほうれん草などが挙げられます。これらの食品を毎日の食事に取り入れて、健康的な食生活を送りましょう。
8.1.2 卵を使った健康レシピの提案
卵は様々な料理に活用できる万能食材です。コレステロール値を気にしながらも、美味しく卵を食べるためのレシピをいくつかご紹介します。
レシピ名 | ポイント |
---|---|
野菜たっぷりオムレツ | 卵白を多めに使い、野菜をたっぷり加えることで、コレステロールを抑えつつ、栄養価の高い一品に。 |
きのこと卵の炒め物 | きのこ類はコレステロール値を下げる効果が期待されるため、卵との相性も抜群。 |
豆腐と卵のあんかけ丼 | 高タンパクで低コレステロールな豆腐と卵を組み合わせた、ヘルシーな丼ぶり。 |
8.2 医師からのアドバイス
8.2.1 コレステロール値が高い人が注意すべき点
コレステロール値が高い人は、食生活だけでなく、生活習慣全体を見直す必要があります。適度な運動、禁煙、十分な睡眠など、健康的な生活習慣を心がけることが重要です。また、定期的に健康診断を受け、コレステロール値をチェックすることも大切です。医師の指示に従い、適切な治療を受けるようにしましょう。
8.2.2 コレステロール値を下げる薬について
コレステロール値が高い場合は、医師の判断により、コレステロール値を下げる薬が処方されることがあります。薬の種類や服用方法は、個々の状態に合わせて医師が決定しますので、自己判断で服用を中止したり、量を変更したりすることは避けましょう。薬に関する疑問や不安があれば、医師や薬剤師に相談することが大切です。医師の指示に従って、適切な治療を続けることで、コレステロール値をコントロールし、動脈硬化などのリスクを軽減することができます。
これらのアドバイスを参考に、卵をバランス良く摂取し、健康的な食生活を送りましょう。ご自身の健康状態に合わせて、専門家にご相談ください。
9. まとめ
この記事では、卵の1日摂取量とコレステロールの関係について、最新の研究データに基づいて解説しました。卵は栄養価の高い食品ですが、コレステロールを多く含むため、摂取量には注意が必要というイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし、近年の研究では、食事で摂取するコレステロールと血中コレステロール値の上昇には、以前考えられていたほど強い相関関係がないことが示唆されています。
厚生労働省や日本動脈硬化学会も、コレステロールの摂取制限量を特に設けていません。健康な人であれば、1日に1~2個の卵を摂取しても、コレステロール値に大きな影響を与えることはないと考えられます。ただし、コレステロール値が気になる方や、高コレステロール血症、脂質異常症、糖尿病などの持病がある方は、医師や管理栄養士に相談しながら摂取量を調整することが大切です。
卵は良質なタンパク質やビタミン、ミネラルを豊富に含む優れた食品です。コレステロールを過度に気にせず、バランスの良い食事の一部として、美味しく卵をいただきましょう。様々な卵料理で食卓を彩り、健康的な生活を送りましょう。この記事が、皆様の食生活の参考になれば幸いです。