コレステロール値への卵の影響とは?一日何個まで食べてOK?管理栄養士が解説

「卵を食べるとコレステロール値が上がるってホント?」そう思っていませんか?

実は、卵とコレステロールの関係は、以前考えられていたほど単純ではありません。

この記事では、管理栄養士の視点から、卵のコレステロールに関する最新の研究結果を踏まえ、その影響や1日に食べて良い個数について分かりやすく解説します。

卵に含まれるコレステロールの量、体への吸収率、善玉コレステロールと悪玉コレステロールへの影響など、気になる疑問を解消!

さらに、卵の豊富な栄養価や健康効果、サルモネラ菌対策、アレルギー情報なども網羅しています。

この記事を読めば、卵を安心して美味しく食べるための知識が身につき、毎日の食卓をより豊かに彩ることができます。

結論として、卵は適切な量であれば、コレステロール値を気にすることなく、健康的な食生活に取り入れることができる食材です。

具体的な摂取量の目安や、コレステロール値が高い場合の注意点についても詳しく解説しているので、ぜひ最後まで読んで、ご自身の食生活に役立ててください。

目次

1. 卵とコレステロールの関係

昔から「卵を食べるとコレステロール値が上がる」と言われてきました。しかし、本当にそうなのでしょうか?近年の研究では、卵とコレステロールの関係性について新たな知見が得られています。この章では、コレステロールの種類や働き、卵に含まれるコレステロールの量などを詳しく解説し、卵とコレステロールの正しい関係性について理解を深めていきましょう。

1.1 コレステロールの種類と働き

コレステロールには、大きく分けて善玉コレステロールと悪玉コレステロールの2種類があります。それぞれの働きを理解することが、コレステロールと健康の関係を考える上で重要です。

1.1.1 善玉コレステロール(HDLコレステロール)

善玉コレステロールは、血管壁に溜まったコレステロールを肝臓に運び、処理する役割を担っています。善玉コレステロール値が高いほど、動脈硬化のリスクが低くなるとされています。

1.1.2 悪玉コレステロール(LDLコレステロール)

悪玉コレステロールは、血管壁にコレステロールを蓄積させ、動脈硬化を促進する原因となります。悪玉コレステロール値が高いほど、動脈硬化のリスクが高まります。

これらのコレステロールのバランスが健康維持に重要です。どちらか一方だけでなく、両方の値を適切な範囲に保つことが大切です。

1.2 卵に含まれるコレステロールの量

卵1個(約50g)には、約200mgのコレステロールが含まれています。これは、以前は1日に摂取しても良いとされていたコレステロール量のほぼ上限値に達していました。そのため、卵の摂取を控える風潮がありました。しかし、近年の研究で、食事から摂取するコレステロールと血中コレステロール値の上昇には、それほど強い相関関係がないことが明らかになってきました。牛乳乳製品健康科学会議によると、食事性コレステロールの摂取と血中コレステロール値の関連は低いとされています。

食品 コレステロール含有量(mg/100g)
鶏卵 約400
レバー 約300
いくら 約270
うなぎ 約150
牛肉 約70

上記のように、卵は他の食品と比べてもコレステロール含有量が多い食品です。しかし、コレステロールの摂取量だけを気にするのではなく、バランスの良い食生活を心がけることが重要です。

2. 卵の摂取がコレステロール値に与える影響

卵は栄養価の高い食品ですが、コレステロール含有量が多いため、コレステロール値への影響が懸念される方もいるかもしれません。そこで、過去の研究や最新の知見を交えながら、卵の摂取がコレステロール値に与える影響について詳しく解説します。

2.1 過去の研究と最新の知見

かつては、卵の摂取は血中コレステロール値を上昇させ、心臓病のリスクを高めると考えられていました。しかし、近年の研究では、食事由来のコレステロールが血中コレステロール値に与える影響は比較的小さいことが明らかになってきています。日本栄養・食糧学会誌に掲載された研究など、多くのエビデンスがこれを裏付けています。むしろ、卵に含まれる栄養素が健康に様々なメリットをもたらすことが注目されています。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」においても、コレステロールの摂取上限量は撤廃されています。これは、食事由来のコレステロールよりも、飽和脂肪酸の摂取量の方が血中コレステロール値に大きな影響を与えるという認識が広まっているためです。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で詳細を確認できます。

2.2 卵のコレステロールは体に吸収されにくい理由

卵にはコレステロールが含まれていますが、全てが体内に吸収されるわけではありません。食物中のコレステロールの吸収率は一般的に50%以下とされています。また、体はコレステロールの量を調節する機能を持っており、食事からコレステロールを多く摂取すると、体内でコレステロールの合成を抑制する仕組みが働きます。

さらに、卵にはコレステロール値を下げる働きを持つ成分も含まれています。例えば、レシチンは善玉コレステロールを増やす作用があり、コレステロール値のバランスを整えるのに役立ちます。

成分 働き
レシチン 善玉コレステロールを増やす、コレステロール値のバランスを整える
その他 研究中

これらのことから、健康な人が1日に1~2個の卵を食べることは、コレステロール値に悪影響を与える可能性は低いと考えられます。ただし、個々の体質や生活習慣、持病によってはコレステロール値への影響が異なる場合もありますので、心配な方は医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。

3. 卵の栄養価と健康効果

卵は完全栄養食品と呼ばれるほど、様々な栄養素がバランスよく含まれています。特に成長期の子どもや、健康維持に気を遣う世代にとって、積極的に摂りたい食材です。卵に含まれる栄養素とその健康効果について詳しく見ていきましょう。

3.1 良質なタンパク質の供給源

卵は良質なタンパク質を豊富に含んでいます。タンパク質は筋肉や臓器、皮膚、髪、爪などを構成する重要な栄養素です。また、酵素やホルモン、免疫物質の材料にもなります。成長期の子どもには体の発達に、高齢者の方には筋肉量の維持に欠かせません。さらに、タンパク質は腹持ちが良いため、ダイエット中の満腹感維持にも役立ちます。

卵1個(約50g)には約6.3gのタンパク質が含まれており、これはお茶碗1杯(約150g)のご飯に含まれるタンパク質量(約2.5g)の約2.5倍に相当します。卵のタンパク質は必須アミノ酸のバランスが良く、体内で効率よく利用できるため、アミノ酸スコアは満点の100です。

参考:公益財団法人 卵栄養推進協議会

3.2 ビタミン、ミネラルも豊富

卵にはタンパク質だけでなく、様々なビタミンやミネラルも含まれています。特に注目すべきは、ビタミンB群、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、鉄、亜鉛などです。これらの栄養素は、エネルギー代謝、免疫機能の維持、骨の健康、抗酸化作用など、様々な体の機能に関わっています。

栄養素 働き 卵1個あたりの含有量(目安)
ビタミンB2 皮膚や粘膜の健康維持、エネルギー代謝 0.25mg
ビタミンB12 赤血球の形成、神経の機能維持 0.3μg
ビタミンA 皮膚や粘膜の健康維持、視力維持 270μg
ビタミンD カルシウムの吸収を促進、骨の健康維持 1.1μg
ビタミンE 抗酸化作用、血行促進 1.0mg
赤血球の形成 0.7mg
亜鉛 味覚を正常に保つ、免疫機能の維持 0.6mg

参考:日本食品標準成分表(八訂)

3.3 目の健康維持に役立つルテイン

卵黄にはルテインという成分が含まれています。ルテインは加齢黄斑変性などの眼病予防に効果があるとされています。パソコンやスマートフォンをよく使う現代人にとって、目の健康維持は重要な課題です。ルテインは体内で生成することができないため、食事から摂取する必要があります。卵は手軽にルテインを摂取できる貴重な食材です。

ルテインは抗酸化作用を持つカロテノイドの一種で、目の水晶体や黄斑部に存在し、有害な紫外線やブルーライトから目を守る働きがあります。特に黄斑部に多く存在し、黄斑変性症などの加齢による眼病のリスクを軽減する効果が期待されています。

参考:大塚製薬

4. 一日に食べて良い卵の数

卵は栄養価の高い食品ですが、コレステロール含有量も気になるところです。一体一日に何個まで食べて良いのでしょうか?ここでは、厚生労働省の食事摂取基準や個々の体質、生活習慣、コレステロール値への配慮などを踏まえ、一日に食べて良い卵の数について詳しく解説します。

4.1 厚生労働省の食事摂取基準

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、コレステロールの摂取量の上限は設定されていません。これは、食事由来のコレステロールが血中コレステロール値に与える影響は小さいとされているためです。ただし、食生活全体でのバランスが重要であることは変わりません。

4.2 個々の体質や生活習慣への配慮

一日に食べて良い卵の数は、個々の体質や生活習慣によって異なります。例えば、激しい運動をしている方や成長期の子供は、より多くのタンパク質を必要とするため、卵を多めに摂取しても問題ない場合があります。反対に、コレステロール値が高い方や脂質異常症の傾向がある方は、医師や管理栄養士と相談しながら摂取量を調整する必要があります。

一般的に健康な成人の場合、1日1~2個の卵の摂取は問題ないとされています。 これは、他の食品からのコレステロール摂取量も考慮に入れた上での目安です。卵以外にも肉類や乳製品などコレステロールを含む食品を多く摂取する場合は、卵の摂取量を調整することが望ましいでしょう。

4.3 コレステロール値が高い場合の注意点

コレステロール値が高い方は、卵の摂取量に注意が必要です。医師や管理栄養士の指導に従うことが大切ですが、一般的には1日1個以内、もしくは卵黄を控えるなどの工夫が推奨されることが多いです。 卵白はコレステロールをほとんど含んでいないため、卵白のみを利用した料理を取り入れるのも良いでしょう。また、コレステロール値を下げる効果のある食品、例えば野菜やきのこ、海藻などを積極的に摂取することも重要です。

個人の体質や健康状態によって適切な卵の摂取量は異なるため、定期的な健康診断を受け、ご自身の健康状態を把握するようにしましょう。 必要であれば、医師や管理栄養士に相談し、適切な摂取量についてアドバイスを受けることをおすすめします。

コレステロール値 1日に食べて良い卵の数(目安) 注意点
正常範囲 1~2個 他の食品からのコレステロール摂取量に注意
高め 1個以内、もしくは卵黄を控える 医師や管理栄養士に相談

さらに詳しい情報については、厚生労働省 e-ヘルスネット「コレステロール」をご参照ください。

5. 卵を食べる上での注意点

卵は栄養豊富な食材ですが、いくつかの注意点も存在します。安全に美味しく卵を食べるために、以下の点に気をつけましょう。

5.1 加熱方法による栄養価の変化

卵の加熱方法によって、栄養価が変化することがあります。例えば、生卵はビタミンB群の一部が加熱によって損失しやすい一方、タンパク質の消化吸収率は加熱調理した方が高くなります。また、茹で卵は目玉焼きよりもビタミンB1の損失が少ないという報告もあります。それぞれの調理法の特徴を理解し、バランスよく摂取することが大切です。

加熱方法 メリット デメリット
生卵 ビタミンB群を損失なく摂取できる タンパク質の消化吸収率が低い、サルモネラ菌感染のリスク
茹で卵 タンパク質の消化吸収率が高い、ビタミンB1の損失が少ない ビタミンB群の一部が損失する
目玉焼き 調理が簡単 ビタミンB1の損失が多い、油を使う場合はカロリーが高くなる

自分に合った加熱方法を選び、様々な調理法で卵を楽しみましょう。

参考:栄養計算サイト

5.2 サルモネラ菌への対策

卵にはサルモネラ菌が付着している可能性があります。サルモネラ菌による食中毒を予防するために、以下の点に注意しましょう。

  • 賞味期限内の卵を購入し、冷蔵庫で保存する
  • 割れた卵は使用しない
  • 卵を触った後は、しっかりと手を洗う
  • 調理器具は清潔なものを使用する
  • 中心部までしっかり加熱する(75℃で1分以上加熱)

特に、小さな子供、高齢者、妊婦さんは食中毒のリスクが高いため、十分に注意が必要です。

参考:厚生労働省:サルモネラ食中毒について

5.3 アレルギーへの注意

卵はアレルギーを引き起こしやすい食品の一つです。特に乳幼児は卵アレルギーを発症しやすい傾向があります。初めて卵を与える際は少量から始め、アレルギー反応が出ないか注意深く観察しましょう。

5.3.1 卵アレルギーの症状

卵アレルギーの症状は、皮膚症状(じんましん、かゆみ、湿疹など)、呼吸器症状(咳、喘鳴、呼吸困難など)、消化器症状(嘔吐、下痢、腹痛など)など様々です。症状の重さにも個人差があります。

5.3.2 卵アレルギーへの対応

卵アレルギーと診断された場合は、医師の指示に従い、卵を含む食品を摂取しないようにする必要があります。加工食品にも卵が含まれている場合があるので、原材料表示をしっかり確認することが重要です。また、外食の際も卵不使用のメニューを選ぶ、アレルギーであることを伝えるなどの配慮が必要です。

アレルギー反応が出た場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

参考:アレルギーポータル

卵は栄養価の高い食品ですが、これらの注意点を守って、安全に美味しく食べましょう。

6. コレステロール値を下げるための食生活

コレステロール値を下げるためには、バランスの良い食生活を送り、特定の栄養素を積極的に摂ることが重要です。ここでは、具体的な方法を解説します。

6.1 バランスの良い食事を心がける

コレステロール値を気にするあまり、特定の食品ばかりを食べるのは避けましょう。主食・主菜・副菜を揃え、様々な食品をバランス良く摂取することが大切です。栄養バランスの良い食事は、健康維持の基盤となります。

1日に必要なエネルギー量や栄養素量は、年齢、性別、身体活動レベルなどによって異なります。厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」を参考に、自身に合った食事を心がけましょう。

6.2 食物繊維を積極的に摂る

食物繊維は、コレステロールの吸収を抑え、体外への排泄を促す働きがあります。特に、水溶性食物繊維はコレステロール値の低下に効果的です。野菜、果物、海藻、きのこ類などに多く含まれています。

具体的には、以下のような食品を積極的に摂取しましょう。

種類 食品例
野菜 ごぼう、オクラ、モロヘイヤ、ブロッコリー
果物 りんご、バナナ、キウイフルーツ
海藻 わかめ、昆布、ひじき
きのこ類 しいたけ、しめじ、えのき
豆類 大豆、あずき、ひよこ豆

6.2.1 水溶性食物繊維を多く含む食品の摂取方法

これらの食品を、毎日の食事に取り入れてみましょう。例えば、味噌汁にわかめを入れる、ヨーグルトにキウイフルーツを添える、おやつにりんごを食べるなど、手軽に始められる方法がたくさんあります。食物繊維は不足しがちな栄養素なので、意識して摂るように心がけましょう

6.3 飽和脂肪酸の摂取を控える

飽和脂肪酸は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増やす作用があります。肉類の脂身、バター、ラード、乳製品などに多く含まれています。飽和脂肪酸の摂り過ぎは、コレステロール値の上昇につながるため注意が必要です。

6.3.1 飽和脂肪酸を多く含む食品

  • 牛肉、豚肉などの脂身
  • バター、マーガリン
  • ラード
  • 生クリーム、ホイップクリーム
  • ベーコン、ソーセージ

6.3.2 飽和脂肪酸の摂取を控えるための工夫

肉類を調理する際は、脂身を取り除いたり、茹でたり蒸したりする調理法を選ぶと、飽和脂肪酸の摂取量を減らすことができます。また、揚げ物や炒め物よりも、煮物や焼き物など、油を控えた調理法を心がけましょう。油を使用する際は、オリーブオイルや菜種油など、不飽和脂肪酸を多く含む油を選ぶのがおすすめです。例えば、肉を焼く際にオリーブオイルを使用したり、ドレッシングに菜種油を使用したりすることで、飽和脂肪酸の摂取量を抑えながら、必要な脂質を摂取することができます。

これらの食生活の改善に加えて、適度な運動もコレステロール値の改善に効果的です。ウォーキングや軽いジョギングなど、無理なく続けられる運動を習慣に取り入れてみましょう。e-ヘルスネットで運動のメリットや具体的な方法を確認できます。

7. まとめ

この記事では、卵とコレステロールの関係について、管理栄養士の視点から解説しました。卵にはコレステロールが含まれていますが、過去の研究や最新の知見から、卵の摂取が健康な人のコレステロール値を大きく上昇させることはないと考えられています。これは、卵に含まれるコレステロールは体内で吸収されにくいこと、また、卵に含まれる他の成分がコレステロール値を調整する働きを持つことなどが理由として挙げられます。

卵は良質なタンパク質、ビタミン、ミネラル、目の健康維持に役立つルテインなど、様々な栄養素を豊富に含む優れた食品です。厚生労働省の食事摂取基準にも特に制限は設けられていませんが、個々の体質や生活習慣、健康状態によって適切な摂取量は異なります。コレステロール値が高い場合は、かかりつけの医師や管理栄養士に相談しながら摂取量を調整しましょう。

卵を食べる際は、サルモネラ菌への対策として、しっかりと加熱することが大切です。また、アレルギーをお持ちの方は注意が必要です。バランスの良い食事を心がけ、食物繊維を積極的に摂り、飽和脂肪酸の摂取を控えるなど、コレステロール値を下げるための食生活を送り、卵を健康的に楽しんでください。毎日の食卓に卵を取り入れ、健康な生活を送りましょう。

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